僕はふつふつとわき上がるあらゆる感情を抑え冷静を装い用件を妹に伝える。

母は病気であり、あまり連れ回すと体に支障をきたすので控えめにしてほしいと。

すると好戦型の妹モンスターは猛ダッシュで進撃を始めた。

 

「あの人は!あの人は…あの人は病気なんかじゃないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ただ胃がないだけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

考えられる中でも最も最悪のリアクションだ。リヴァイ兵長はもとより

ミカサやエレンにすらなれない、一般市民の人類である僕は

進撃の妹モンスターにあっという間に蹴散らされた

妹モンスターの次の攻撃目標は先日の家族会議だ。

 

「私は!私は!あのときだって!私は!ひとりみんなにイジメられて

 必死に闘い闘って耐え抜いたんだあぁぁぁぁぁぁぁっあっあっあっあっわああ」

 

妹の電話越しで横断歩道の信号音がピーコンピーコン鳴っている。どうやら彼女は

横断歩道を渡りながら怒鳴りちらし嗚咽している。その場に居合わせた人がいたら

絶対振り返る。

 

「あんたは謝罪するべきだあぁぁぁぁぁぁぁ!あっあっあっあっわああ」

「鬱の人に鬱というのは失礼なんだようぅぅぅよう!!悪化するるるぅぅぅぅ!」

 

巨人を前にして立ちすくむアルミンの気持ちがよく分かった。

胃がんで胃を全摘した人に胃がないだけ、というのは失礼じゃないのか?

鬱は完治したと言った本人が鬱が悪化すると言っている。

 

「謝罪しろ!謝罪しろ!謝罪しろ!謝罪しろ!謝罪しろ!謝罪しろ!しゃざ…」

 

お前は新興宗教の教祖か!?修業でもしてろ!

一生のうちでもダントツ一位にウザい電話を僕は途中で切った。

この何の成果も得られなかった電話により僕と妹の直接的なやり取りは

しばらく断絶状態になる。

 

ちょうど良い。心が折れかけている。少し眠りたい…。

 

しかしそんな暇はなかった。