母娘コンビは伊豆の老舗ホテルに実際に宿泊したという。接待と称し村雨さんという

イベント会社に勤める夫妻も招かれていた。妹の荒唐無稽なありえない話に

ちょいちょい実在する人物が現れる。

 

客として宿泊したはずが妹は突如「伊豆地域活性化計画」をぶちあげた。

妹はこの老舗ホテルに

 

「私がCSマネージャーをしてあげるから支配人を呼んでください」

 

天変地異レベルの押し売りをホテル側は丁重にスルーするとまたしても

妹の右脳は爆発し左脳はショートする。

 

「私は客よ!客が支配人を呼べ!と言ってるのに呼べないの!?」

「これが鳩山由紀夫の申し出でも呼べませんか?では明日、鳩山を連れてきます!」

 

客はCSマネージャーの押し売りなんかしない。

兄はオノ•ヨーコと知り合いで妹は鳩山由紀夫と知り合いで、一体何メートルの

竹馬で背伸びすると、こういうことが言えるのか?

 

公衆の面前で怒鳴り散らす妹に慌てて出てきた副支配人もいい迷惑だ。

妹の剣幕に狼狽して制止する母や村雨さんもいい迷惑だ。

実は母が村雨さんから名刺をもらっていたので、連絡先を聞き僕は村雨さんに

電話をかけてみた。村雨さんはおだやかに当日の状況を教えてくれた。

夫妻もやはりなんか変だ、と思っていたものの費用は全て妹持ちで母も

一緒に活動しているし、一度、伊豆の現状を視察した上で何かイベントが

出来ないか?老舗ホテルと打ち合わせするから来て!と言われたそうだ。

 

「全体的に少し話が大きすぎるかな?と思いました」

「打ち合わせのアポもなかったし、私たちはいいですけどお母様は

 少しかわいそうに思いました。」

 

僕にとっては話が大きいのも「少し」ではないし母がかわいそうなのも

「少し」ではない。母は胃がんで胃を全摘出している。そのため胃酸が

分泌されず血液ができにくい体で常にそれが貧血状態になり、心筋梗塞を

いつ起こしてもおかしくないのだと医師から説明をうけていた。

 

母に言っても制止を聞かないし、ならば妹に直接言って同行を

止めさせるしかない。相当気乗りしないが僕から妹に電話をする。

 

「忙しいんだけど何?用件は3分ですませて!」

 

僕の右脳も爆発しそうだ。