妹をのぞく僕たち家族の案件を整理した。
妄想ブログの削除。
仕事を辞め妹は今後どのようにして生活していくのか?
妹は本当に病気なのか実際に会って観察し彼女に病院にいくよう勧める。
しかし妹は中絶の公表はポリシーに基づいてしたことなので削除しない。
両親のDVや僕の性的暴行については?
「やましいことがなければ恐れることないじゃない!」
僕たちはおそらく同じレールの上を走っていない。僕たち家族は新宿駅で
一堂に会したが僕や母は山手線でグルグル同じ所を回り続け、妹は京王線で勝手に
高尾山口に向かっている。父は電車にすら乗っていない。
中絶した、DVされた、性的暴行を受けた、ただこれだけのカミングアウトを
したところで、せめて具体的に立ち直る道程など示されていなければ
勇気づけられる人なんていない。
「生活に関しては前の会社の社長以外にも融資してくれる人がいるので大丈夫」
もはや高級な愛人レベル話にしか聞こえない。こちらがどんなにウソだと思っても
僕に証拠なんてないから妹が言い張る限り平行線もいいとこだ。しかし妹の話にも
証拠はなかった。
少し進展がみられたのは病気について。妹は病院に行きうつ病は完治したと
主治医が明言したと言う。一年足らずでうつ病が完治し倍返しのように
今はハイテンションになるものなのか?僕には分からなかったが、妹から
その病院名を聞き出す事が出来た。浜田山にあるクリニックだという。
実は僕が妹に病気、大丈夫か?と切り出したとき、もっともハッとした
顔を見せたのはサイトウくんだった。どうも初めて病気の可能性に
気づかされた、という顔だ。贔屓目など用いなくても妹の発言は
荒唐無稽で僕たちが言っていることの方がまともに見える。妹が呼んだ
援軍のサイトウくんもナツメさんも会議の終盤には
僕と同じ山手線に乗車していた。妹はひとり高尾山口駅に降り立ってしまった。
「頼むからサイトウくんといっしょにその病院で診察受けてよ。
サイトウくんも連れて行くって約束してくれないかな?」
「分かりました。約束します。」
妹も渋々であるが約束した。結局、会議の結論はブログを削除しないかぎり
家族は一切、関知しない。ボランティアは悪い事じゃないからすればいい。
陰ながら応援する。貯金通帳はサイトウくんと結婚したときに、
元々母が妹が結婚したときのために貯めた300万円なのだから、
そのときに渡す。そしてサイトウくんと病院で再度診察を受ける。
そういう決まりで家族会議は終幕した。
結局これは僕は何もしなかったし何もできなかったってことだろう。
そして妹が預金通帳を受け取る事もなかったし、サイトウくんと
病院に行くこともなかった。
その日の夜、妹はサイトウくんと別れた。駅でバイバイしたのではない。
急すぎて僕はこの話を当初そう解釈し、何でそんな当たり前の報告を?と
思ったが、縁を切ったという意味だった。