「2度妊娠して中絶…」
実名ブログでのカミングアウト。僕は真っ先に母親の顔を思い浮かべた。
と同時になぜ妹がカミングアウトしたのか?全く理由も分からなかったし
そもそも初めてそんなこと聞いた。母はインターネットなどできないので
このブログを見ない事を願ったが、従姉妹の文代によってその内容を
知らされていた。当然、母も初耳だ。
「本当かしら?」
小さく呟く母の声が微かに震えているように思う。
母はこれが本当でなければ良いと願っていたが、僕はこれが実名のブログだと
いう事を問題視していた。本当だろうがウソだろうが、彼女はなぜこんなことを
世間にカミングアウトする必要があるのだろう。
「この事実を皆さんに知ってもらい、同じ悩みで苦しむ女性を
勇気つけられれば幸せです」
そういうのは芸能人とかマザーテレサとか世に影響力のある人がやれば良い事で
そもそも妹がやる必要性を僕はまったく見いだせない。しかし妹の、いや
エコキャップ団体のブログは妹によって、
さらにさらに不幸の巣窟へようこそ!ブログへと化した。
「父は私や母にDVを加えていました」
「母はそのストレスから私に熱湯をかけるなどの暴力を日常的に行っていました」
「兄から口にできないような性的暴力を私は受けました」
……。
もう僕はさっさとお前の遺族になりたいよ。殺意というより、自殺以外の
仕方ない病気で早死にしてほしい。すごいね。父や母にDVされ兄に性的暴行を
加えられ2度の妊娠中絶。不幸のロイヤルストレートフラッシュがここに
並んでいる。エコキャップを広めるブログが自称不幸の女王を広めるブログに
変わっている。僕を育てた両親と妹を育てた両親は同一人物なので、僕は
両親がそういうタイプの人間でないことを知っている(だいぶ個性的だけれども)
僕は妹が8歳のときに家を出ているし、両親は僕がそういう人間ではないことを
知っている。しかしこの実名ブログを見た見知らぬ人たちに否定のしようもない。
僕は心の中で考えられる全ての悪態を妹についた。
驚いたことに兄に性的暴行を受けた、と称する女からいけしゃあしゃあと
電話がなる。
「私名義の預金通帳をお母さんに預けてあるんだけど、
返してくれないから、お兄ちゃん説得してくれない?」