(1)医療倫理が必ず出題される

 

今回は医歯薬看護系の大学での入試小論文を書く際の勉強法の話をします。

 

私は予備校やネット授業の初回にいつも医療倫理のテーマで解説をします。

 

生徒にこう問いかけます。

 

医師・看護師・薬剤師などは他の職業(たとえば、私のような教師・講師)と比べて何が違う?

 

医療従事者も教師も人を相手とする仕事です。

 

だから、コミュニケーションが必要になります。

 

これは、共通点で相違点ではありません。

 

大きな違いは、失敗の影響です。

 

私の仕事も生徒さんの将来に影響する内容であり、間違ったことを教えることは許されません。

 

このような意味では、医療従事者も教師も失敗は許されない仕事です。

 

しかし、教師や講師が失敗しても、入試で減点されるだけです。

 

もちろんその結果、志望校に落ちて、生徒には大きなダメージを与えます。

 

ですが、医師・看護師・薬剤師などの失敗は人の命にかかわるものです。

 

教師や講師が失敗しても生徒は死にませんが、医歯薬看護系のの深刻なミスは患者の生命に直結します。

 

こういうわけで、医療従事者には厳しい責任と倫理観が要求されるのです。

 

医歯薬看護系の小論文で医療倫理が出題されるのはこうした事情によります。

 

医療倫理をズバリ聞いてくることは少ないとしても、問題の背景には必ず倫理観が潜んでいることが特徴といってもいいでしょう。

 

ちなみに、ここでは「倫理観」と書きました。

 

大学や塾・予備校によっては「倫理感」という表記で入学案内に書かれたり、教えたりすることも時折見かけます。

 

しかし、「倫理感」では倫理に対する「感覚」や「感性」という意味になり、これも間違いではないが、やや弱い、軽い印象を受けます。

 

「倫理観」と書くと、倫理に基づく「価値観」「生命観」「世界観」という定義になり、「倫理感」も含むより広い「哲学」「思想」を表すので、私にはこちらの表記のほうがしっくりとくるのです。

 

小論文では、「倫理観」か「倫理感」か、という細かい表記の違いにまで考慮して徹底的に考え抜く姿勢が求められます。

 

 

(2)医療倫理は面接でも重要

 

面接ではさまざまなことを聞かれます。

 

質問の根底には医療倫理が関わってきます。

 

医歯薬看護系の大学では、なぜ面接試験が設けられているか、考えたことがありますか。

 

大学側で一番避けたいのは、偏差値秀才を取りたくないということにあります。

 

医療系の大学、特に医学部には優秀な受験生が多く集まります。

 

ペーパー試験でいくら満点を取っても、人間的に問題があったら医療現場では困ります。

 

①自己中心的で患者の気持ちを理解できない。

 

②目立ちたがり屋でスタンドプレーばかりする。

 

③挙動不審で落ち着きがない。

 

このような人間を見分けてスクリーニング(ふるいにかける)ために各大学では面接試験を設けているのです。

 

こうした人間は面接である程度判別がつきます。

 

グループ面接は②のタイプを見分けて落とすことも目的の一つでしょう。

 

医歯薬看護系大学の小論文で出題される頻出テーマである①´患者中心主義は①と、②´チーム医療は②と対応するものであり、小論文は論理的思考はもちろんですが、人格や人間性を見るために出される要素もあります。

 

倫理観や道徳は人格や人間性を構成する重大な要素であることは間違いありません。

 

 

 

 

(3)生命倫理をともに学んでゆきましょう

 

私、朝田隆は「生命倫理の教科書」(黒崎 剛、 吉川栄省、ミネルヴァ書房)でこの問題を勉強し、他にも多くの書籍を読んだり、仕事を通して知り合った医師に質問したりして、生命倫理について常に考えています。

 

 

 

 

 

私は明治大学大学院文学部修士を卒業し、医学的な知識については、素人です。

 

ですが、幸い小論文の個別指導を通して生徒さんのご父兄が医療系に勤務されているケースもあり、こうしたご父兄から医師を紹介されて、ご父兄を頼りに間接的にお医者さんともコミュニケーションをとってきました。

 

こうしたやりとりを通して在宅医療の重要性を認識し、混合診療の是非についても知見を得ることができました。

 

医療については正直、門外漢の私は、医療と生命をめぐる問題についてはまだまだ知らないことはたくさんあります。

 

生命倫理の問題を若いみなさんと一緒に考えてともに学んでゆきたいと思います。

 

是非OK小論文のご受講をご検討ください。