難波新地に
懐メロの店が
昔あった

初めて行ったころ
マスターが
アコーディオン弾いてくれた
店には懐メロファンが

めっちゃ上手い人が
何人かいて


岡晴夫専門の人
灰田勝彦専門の人


そりゃうまかったなあ


灰田勝彦
水色のスーツケース
ハワイで生まれて
お兄さんと日本に来て
戦争で帰れなくなって
お兄さんと
二人が
ハワイアンを日本に
根付かせた


その店も
オーナーが変わって続いていたけれど
今はない

帰る時
オーナーが
店の前に出てくれて
千日前の通りに出るまで
東京花売り娘を
弾いてくれた
アコーディオンをさなかで聴きながら帰る
冬の道

時代が流れてゆく
のが世の常なんだろうけど
ただ日本は
どこにむかおうとしているか