負けへんで‼️
     コロナ‼️

創作小噺シリーズ
44回






タイトル
《嵩(かさ)にかかる》



ある月夜の晩
大阪
生駒の山の上にある洞窟に
1匹の蝙蝠(こうもり)が、飛び込んで参りました。



蝙蝠A
「こらこら、まて、どこのもんや、よそもんが入ってきてはならん。
ここは
生駒地区をおさえてる
蝙蝠安一家の
洞窟やで」

蝙蝠、さだ
「すいません、わたしは、箕面の洞窟に住んでおります、辰五郎一家のさだと申します。
どうか
蝙蝠安様にお取次を」

蝙蝠A
「わかった、辰五郎さんところのもんかいな、ほなまあ、その辺にでもぶら下がって、まっとけ、伝えてくるから」

蝙蝠 さだ
「ありがとうございます、ではここでぶらさがらせてもらいます」





蝙蝠A
「おいさだ」

さだ
「 へい」

蝙蝠A
「わしに、ついてこい、案内するから、
かなり奥の方やで、こっちや」

蝙蝠さだ
「へい」



蝙蝠A
「おい、あの上の方で、ぶら下がってる
ひときわ大きなお方が、蝙蝠安一家の、お頭や。いてこい」

 さだ
「おおきに、
ごめんなすって、安さんでございますか、わたくし、箕面の辰五郎一家のさだと、申します」

「ほうかいな、えらいまた、箕面から遠かったやろ、こんな、夜深に、どうしたんじや?まぁ、そこに、ぶら下がり」

さだ
「おおきに、今宵は、また満月で、道はよう分かりました。ところで、なんできたかと申しますと、安様は、辰五郎とは若い頃からよく知っていて、仲が良いとか」

「そう、たっちゃんとは昔から、徹夜でよう喋ったぶら下がり仲間よ。それで、なんやねん一体」

さだ
「それが、辰五郎が、ですね、えらい心配してまして、どうもコロナちゆうウイルスが悪さしよるのは、まるで、マラリヤやテング熱の様に、蚊に刺されることによって感染するみたいに、
今のコロナの感染の拡大がわれわれ、蝙蝠やと思っとる人間がおると、
全然、わしらは関係ないのに、駆除されるてなことになったらえらいことや、気をつけるように、なんかあったら困るから、知らせに行く様にと、心配してはりましたんで」

「そうか、いやおおきに、
そんな噂はちらほら、
聴いてたんや、
どうも、われわれ蝙蝠は、アメリカではバットマンの活躍で、受けがええけど、
日本では、蝙蝠は、気持ち悪がられて、
受けが悪い。
特に日本の若い人間は、どれだけわれわれが、昔、重宝され、幸せの使いや、ということを知らんのや」

さだ
「さよか、わたしも知りませんねんけど」

「そやろな、お前も若いから、知らんやろうけど、昔は、こうもりは、幸、つまり、しあわせを守る。幸守、また、幸を盛る。いっぱい幸せがある、幸盛る。幸せがぶら下がって上から落ちてくる。
と、思われて、ゴールデンバットいうタバコのデザインにもされとった」

さだ
「えっ、われわれがタバコに?」

「そうや、2019年まで、紙巻きたばことして売られとって、わしらの姿が堂々と描かれていて、庶民に愛されとったんや」

さだ
「さよか、それがコロナちゆう悪いウイルスの野郎のために、わしらに疑いが」

「まあまあ、わしらは見た目で損してる、真っ黒で、だいたいドラキュラがいかんねん。あのガキの周りを飛んでるイメージがついてしもてな。
でも、来月になったら、わしらは、きっと見直される」

さだ
「来月になったら、そらまたなんでだんねん?」

「来月、6月は梅雨や、梅雨となると、いるのが傘やないか、傘といえば、その代表的なんがこうもりがさや」

さだ
「なるほど」

「今盛んに言われとる、ソーシャルディスタンスな、あれは、傘さして、傘が触れん様な位置なんや、そやから、来月になったら、わしらはえらそうにしてええ、これが、嵩にかかる。ちゅうこっちや」





おわり