負けへんで‼️
      コロナ‼️


創作小噺シリーズ

第38回




タイトル
《修学旅行》




生徒会副委員長、及川
「ただいまより、緊急生徒会を行います。3年生各組の学級委員長の他に、体育会系、文化会系の、部長にも声をかけさせてもらいました!
講堂で、出来るだけ、間隔をとって座って
マスクをしてなら、放課後集まって、協議をしても良いと学校側から
許可をもらいました。
集まってもらって、ありがとう
時間
40分と
決められてます。
ドアは全て開けています。
議題は修学旅行についてです。
時間がないので、福田生徒会長に
一言、手短にお願いします。では福田君
どうぞ」

生徒会長、福田
「時間がないのでいきなり本題に入ります。インターハイがなくなりました。そして高校野球が中止となりました。戦後初めてのことです。だから、高校時代の思い出に、せめて修学旅行だけでも行きたいと、みんなで工夫をして
、三密を避けることができれば
いけないことはないと、それをみんなで考えて、学校側に直訴したいと、思うんです。
先生方は
また来年があっても、われわれ3年生には
もう、ないんです」

野球部キャプテン、梅川
「委員長、その議論に入る前に、一言みんなに礼を言いたいことがあるねんけど、ええかなぁ?」

福田
「じゃぁ、梅川君」

梅川
「ありがとう、インターハイがなくなって、高校野球にわれわれは、厳しい練習に耐えてやってきました。
大阪の名門校、強豪ひしめく中で、われわれが、大阪代表になるのは非常に、厳しいのはわかってます。
でもベストを尽くしたい。せめて準決まではと頑張ってきました。
僕らの
応援のために
にわかの応援団をつくって
応援の練習をしてくれた、
ブラスバンドのみんなありがとう。
それがなくなって
せめて、修学旅行へ行って、各クラスの
野球大会でもやりたい。
硬式じゃなくて、ソフトボールで女子も参加して、
修学旅行先のどこか、野球場を借りて
それを
僕らの最後の甲子園にしたいんや。
でないと、高校時代に区切りがつかへんし、
こうなったら修学旅行を高校生活の
一番の思い出にしたい。
よろしくお願いします。
自分も
福田君に賛成です。
なんとか
修学旅行に行きたいと思います」

福田
「ありがとう、修学旅行先で野球をするのは面白そうや。他にない?
なんでも意見を言って」

A組代表、大塚
「はい」

福田
「大塚君」

大塚
「委員長、われわれは三年生です、来年受験です。ただでさえ、授業がなくて、勉強も遅れてる。
そら
学年最後の思い出に
旅行は行きたい。
毎年、早い時期に行ってた。
それならええけど、
でも、どこに行くにも、みんな離れとかないかんし、そんな修学旅行に、
野球をする余裕はないのと違うかな、A組は、特に国立に進学するのを、希望してるのが多いから、修学旅行に4日も5日も、6日も、とられたら、たまらんわ、それで野球するて」

梅川
「大塚は、頭はええけど、運動神経はさっぱりやからな、お前、野球の時、A組の監督やれ、いろいろ頭使うで」

大塚
「そんなんで、頭使いたないわ」

B組代表、鈴木
「はい」

福田
「鈴木君」

鈴木
「ハイ、べつに野球をやりたい奴はやったらええし、観光したいものはしたらええし、結構三年生の中にカップルもいるから
新婚旅行もかねてもええんと違う?」

福田
「あかんあかん。そんな奴はおらんやろけど」

C組代表、安田
「ハイ、委員長、今年も例年通り、九州へ行くんか?」

福田
「それについては、考えていることがあるねん。学校と交渉して、思い出に残る修学旅行にするから、もちろんみんなに参加してもらう」

大塚
「えー、全員参加、待ってくれよ、ただでさえ勉強遅れてるのに」

福田
「大塚君、みんなで参加せんと、思い出にならへん、考えてるのは、なにも今までみたいに、5日も、6日も、
旅行にいかへん。この時期、
たとえ一泊旅行でもええやん。
バスで行って帰ってくる。毎年いってる長崎と違ってもええのと違うか?岡山でもええやん」

大塚
「岡山、えらいまた、近いなぁ」


てな、訳で
なんとか、生徒たちの希望が叶って
、父兄も、学校側も
せめて
修学旅行だけでも行かしてやろうと、
行ってまいりました。



梅川
「福田、ありがとう、めっちゃ楽しい、思い出に残る修学旅行やった。
宿泊先が湯原温泉で、みんなが分かれて泊まって、
密接を避けて、みんなひとり部屋で、
俺なんか宴会場で一人やったから淋しかったわ。
けど、まさか、岡山県倉敷スポーツ公園球場で野球ができるやなんて、
夢のようやった。
愛称マスカットスタジアムで相手は
阪神タイガースの2軍と試合をやらせてもらうやなんて」

福田
「よかったな」

梅川
「うちの高校のOBで、阪神の2軍のコーチやってる先輩と監督が同期で、
声かけてくれて実現したんや」

福田
「応援団も張り切ってできたし、バス10台、一台に20人や、充分に間あけて、料理も各旅館、ホテルの大広間で、
離れて食べたから、良かったがな、料理は組合が相談して、
同じものにしてくれたらしい。誰1人、体調を崩したものはおらなんだ」

梅川
「それにしても
湯原温泉あげて、歓迎してくれて、
風呂も5人づつ別れて、密接にならんように、それにしても、勉強のこと心配してた大塚が17ある湯めぐりを夜通しやって、湯あたりして倒れたんやて?」

福田
「そうやねん。よほどストレス溜まってたみたいやな。先生方もこんな楽しい修学旅行は初めてや言うてはった」

梅川
「ええ思い出になった。
福田のおかげや。テレビの
取材もいっぱいきたしなぁ
十分に、インターハイや高校野球なくなった穴埋めになったがな。よう、福田、こんな素晴らしい修学旅行というより、おっさんの旅みたいやったけど、
女子も喜んでたよ
けど、かなりお金もかかったんと違う?」

福田
「それが、たまたまテレビ見てたら湯原温泉の若手の温泉旅館の組合員が、コロナで客落ち込んで、非常事態宣言解除になったらどない宣伝しよう、言うてるのん、見て、すぐに電話かけて、修学旅行で、近場で思い出作りたい、われわれを宣伝に使ってくれ、言うたら、
タダになったんや」




おわり