負けへんで!コロナ!
創作落語シリーズ
第9回

タイトル
《診察》



医者
「やっと、終わったなぁ、みんなご苦労様、みんなの必死の感染予防のおかげで、
院内感染を防げているし、ほんとうに、お疲れさん!ゆっくり休んでくれ」

看護師A
「先生、防護服脱がれますか?」

医者
「ああ、大阪市から提供してくれたのはええけど
これは
どう見ても、ゴム製の雨合羽やから、重いねん。それを粘着テープで止めてるから、
余計に重いわ。
悪いけど、後ろからテープはがしてくれるか」

看護師A
「先生、さっきからえらい雨が降ってきましたから、このままおかえりになった方が」

医者
「嫌やがな、苦しいし、暑苦しいねん。
途中で倒れるわ。
はよ脱いでホッとして、
あったかいコーヒー飲んでから帰るわ」

看護師A
「では、後ろから脱がせますね」

ビリビリビリー
ビリビリビリー

看護師
「終わりました!」

医者
「はぁー、ホッとした。じゃコーヒーを」


看護師B
「先生、急患です」

医者
「えーーー」

看護師B
「いま、救急車で運ばれてきました。呼吸は正常ですが、胸を押すと激痛が走るそうです。
とにかく病院の庭の仮設隔離診療室に入ってもらいました。
急いでください」

医者
「脱いだところやのに」

看護師A
「先生、今度のはコンビニで売ってる系の雨がっぱで軽いです」

医者
「わかった、テープ貼ってくれ、手袋、聴診器、マスク、帽子、ゴーグル、外に行くから
靴の周りにもテープをしっかりと、で、患者の歳は?」

看護師B
「17歳です。昨日公園から帰ってから、胸の痛みを訴えています。先生、早く」




看護師A
「先生、お疲れ様でした」

医者
「ああ、おい、すまんけど、防護服脱がせてくれ、はぁー疲れた」

看護師A
「どうだったんです?
また新型コロナの感染者ですか?」

医者
「全然違うがな、昨日公園で野球しとったらしい」

看護師A
「でも、胸を押さえたら痛いって」

医者
「胸はなんともないねん。押さえた指が
骨折しとってん」




おわり