僕がこの世界へ入って
間違いなく刺激を受けたのは
談志師匠と
枝雀師匠です。

2人は
両極にいるようですが
2人は
回って重なり合っている気がします。

落語への
半端じゃないこだわり
表現は違いますが
かさなるものが
あったと思います  


ストイックに
落語を突き詰めた2人
とにかく
僕には
とてもかっこよかった。


どうだ、誰々の芸をどう思う?ん?

こう言えば
師匠の気に入られるという答えは
分かっていましたが
言いませんでした。
それが
師匠には
気に入っていただいた
ところだと思います。


同じ答えを
多分嫌ったんだと思います。

落語が上手くなる方法を教えてやるよ
いくつか落語を習いましたが
はっきりと
上手くなる方法を
教えていただけませんでした。
うまい
っていう曖昧ものとしたものを
きっと
教えたところうで
できないことは
分かっておられたからだと思います


とにかく師匠は
自分にないものを
認める人でしたから
常に
それを
僕は意識していましたし
つねに
僕を試していたように思います。


師匠が入院されていた時
何をもっていいかわからず
一応
お見舞金を
もって行きました。
すると師匠は受け取ってくれました。
私が帰ったあと
鶴瓶さんがゆき
ひとしきり面白い話
をすると
師匠は喜ばれて
これ祝儀だもって行けよ
僕の見舞金を渡したのです。


鶴瓶さんは僕に
電話をかけてきて
説明をしました。

これは
師匠が
僕がどうするか
試しているに違いないと

鶴瓶さんと僕が仲のいいのを
ご存知ですから 

僕は考えました。

鶴瓶さんに
僕のを入れて
それに足して見舞金を持って行ってもらいました
裏には
いくら
と金額と僕の名前を書いてもらいました。

師匠が
鬼籍に入られて
淋しいこと
この上ありません
あんなに
やりとりを楽しめる師匠は
なかなかいないからです。


次は
機会があれば
枝雀師匠のことを書きたいと思います。