少しだけ開いた口を閉めるわけにもいかず。
「ううん。ごめん、なんでもない」
「で、なに」
 何か言おうとしたことは、しっかりとばれている。
「ほら。わたしとエッチできるから、いても何も言わないのかなーって」
「え、そんなの別に一緒に住んでいなくても出来るじゃない」
「そうだけど」
 そうだけど、そうじゃなくて。
 この人は。
 ……時折、なんだか怖くなるのだ。
 理解しきれない、というのだろうか。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 走り続ける。
 目的もなく。
 家に戻るには中途半端な時間を。
 太陽がまだ沈まない海岸線を。
 三人ともバラバラの想いを乗せて。
 地球の空気を汚しながら。
 救いもなく。
 癒しもなく。
 誰にも理解されず。
 理解も求めず。
「浜におりてみる?」
「あかんて。寒いて」
「車が汚れるから嫌です」
 ただ、道に沿って走っていく。



To be continued...


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 そもそも、わたしたちの研究室は事実上の解散に追いやられている。
 もう予算は出ない。
 一部の人間は、さっさと企業に移っていった。
 一体、何の為に研究をしていたのか。
 誰かにヒョイと取り上げられたらそれでお仕舞いの、ままごと遊びのような物ではなかったはずだ。
 とうの昔に、夢見る少女ではいられなくなっている。
 そんなことは解っている。
 そのはずなのに。
 ……答えが出るまで、まだ時間が掛かりそうだった。
 それに。
 こういう生活も悪くない、と思う自分がいる。
 朝は彼が仕事に行くのを見送り、下手くそな掃除と洗濯をして好きな本を読む。
 お昼になったら買い物をして、その帰りに図書館に寄って、また本を借りてきて読む。
 コウイチロウが帰ってきたら二人でご飯を食べて、お話をしながら一日が終わる。
 料理は彼が担当だった。
 わたしが料理したものは、彼には味付けが強すぎるらしいし、『何でもかんでもやらせるのは悪い』といって譲らない。
 役割分担。
 いまのところ、問題も起こらずに上手くいっている。
 同棲、結婚――そんな単語が頭をよぎる。
 でも、何か違う気がする。
「ねえ、コウイチロウ」
「なに」
「わたし、いつまでここにいて良いの?」
「期限を切った覚えはないよ。好きにすればいい」
 そうじゃない、とわたしの中で誰かが呟いた。もう一人の自分だろうか。
 わたしは……居たい気もするし、居てはいけない気もする。
「でも、邪魔じゃない?」
「邪魔なら、邪魔だという」
「そうだけど」
 そして、今日もコウイチロウに触れられない。
 触れたいのに……すぐ横にいるのに、触れられない気がする。
 何度肌を重ねてもそれは変わらない。
「ねえ」
「なに」
 『居て欲しい?』――とは訊けなかった。
 それを訊く自分は何様なのか。


(つづく)




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 少しずつ見慣れてきた天井が目に入った。
 小説を読んでいるうちに眠っていたらしい。
 寝れる環境があれば、どこでもぐっすり寝ることが出来るのがわたしの特技の一つだ。
 まだ少し眠い頭を持ち上げる。
 そろそろ夕食の時間だろうか?
 壁に掛けられた時計を見上げる。
 午後6時。窓の外はもう暗い。秋の夕暮れはすぐに夜に負けてしまう。
 だらしないと思う。
 夏のあの強さはどこに?
 そんなことよりも……
「コウイチロウ。お腹、空かない?」
 机に向かって書類を書いている彼に話し掛ける。わたしが眠る前と同じ姿勢をしていた。あれで肩が凝らないのだから羨ましい。
 彼は椅子を引き、こちらを向いた。
「ん? 何か作ろうか?」
 『ああ、もうそんな時間か』というような表情をしていた。
「いえ、空いてなかったらいいです」
「もうちょっと待ってね」
 そういって、机に再び向かう。
 彼のちょっとは非常に長い。だから、もう諦めることにしている。
 わたしはソファに再び体を埋めた。ふかふかだ。
 今日もまた、自堕落な平日が終わろうとしている。
 いつもなら研究室に籠もってみんなでデータの考察をしている頃だ。それももうない。全ては無駄だ。意地や伊達で続けられるほど甘い世界ではない。
 研究室に行かなくなって五日が過ぎた。あれからずっと、彼の部屋に転がり込んでゴロゴロしている。
 企業からの受け入れ話にも、まだ、返事をしていない。
 他の研究者は要らなくて、わたしだけが欲しいらしい。
 決して悪い条件ではなかった。
 契約金も給与も申し分ない。
 しかし、仲間を置いて企業にいく自分を許すことは出来ない。
 仲間。
 仲間って、なんだろう?


(つづく)




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ブログネタ:身の回りのビックリ名言集を教えて! 参加中

 ブログネタというものに参加してみました(^^ゞ
 二年前に結婚した友人の名言です。

 彼の部署は人数が足りなくて休みを取るのも一苦労だったそうです。
 しかも、部署のお偉いさんがかなりの分からず屋。というか精神的に変で、職場でも嫌われている人です。
 なんと、どうしても必要な有給ですら、許可されずに取れないことがままあるそうです。
 取るときは、病欠として当日の朝に電話しなければならない、と。
 しかも、ネチネチと嫌みを言われてから、やっと休めるのです。忙しいから病気でも構わないから来い、と言われたら取れないこともあります。

 さて、そんな悲惨な彼ですが、三年付き合った彼女と結婚することになりました。
 お相手は、同じ職場の別部署の女の子。
 付き合っている頃にも、旅行の為に二人で同じ日に有給を取ろうものなら、

「お前ら二人のせいで、みんな迷惑してるんやぞ?」

 と嫌味を言われるそうです。(勿論、彼女さんの部署も人手が足りていません)
 結婚式をあげるのにも一悶着あったそうで、

「式なんか挙げなくて良いだろう?」

 と言われ続けていたそうです。
 働くことだけが人生で一番素晴らしいことだ、と考えているみたいです。

「結婚式は日曜なんだから、次の日からすぐ出てこい」
「無理です」
「休む理由なんかないだろう」
「新婚旅行です」
はぁ?ふざけんな。もっとまともな理由があれば休ませてやる」

 ……とまあ、彼の上司が精神的にちょっとおかしな人間なのはおわかりいただけると思います(汗)
 それに対して、彼はこう怒鳴ったそうです。

「そんなの、理由なんていくらでも作りますよ!」


 物静かな普段の彼からすると想像もつかない叫びですが、胸のスカッとする名言だと思います^^

 『青になる』が進んできましたので、もうじき、もう一つのシリーズも進めていきたいと思います(^^ゞ

 『シイナと旅する』というシリーズで、『青』と同じ世界を舞台にしています。


 なお、お察しの読者様もいらっしゃるかと思いますが、作中世界は僕らのいる現実世界ではありません。

 かといって剣と魔法のファンタジーというわけでもなく、もちろんSFほどサイエンスではありません。


 というわけで、作者からの無粋な解説はこの程度にして、変な世界を今後も毎日少しずつお楽しみ下さいm(_ _)m