「車かぁ……欲しいなぁ……」
わたしは免許を持っているけど、取った時点から既にペーパードライバーだった。
免許証は身分証明書としてしか使ったことはない。
もし車を手に入れたら、いろんな所を旅しよう。
ネットでちょっと調べてみるかな、と思った矢先に携帯電話からメール着信音。
ヒトミからだった。
『今、なにやってるん?』
と一行だけ。
彼女はメールでも大阪弁だ。愛嬌があっていいと思う。
『暇してるよ』
と簡単にレスした。
まさか、コウイチロウの家にいるとは言えない。
多分、ヒトミは、コウイチロウのことが好きだから。
絶対に言えない。
まだ言うには早い、というか、言いたくなかった。
再び携帯が震える。
『ケーキでも食べへん?』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
30分ほどあと、受講センターの近くにあるカフェでヒトミと合流した。
二人ともプチセットを頼んだ。3種類のミニサイズケーキが楽しめるセットで、満足感があって気に入っている。お茶はアールグレイ。ヒトミはカプチーノ。
店の窓からセンターの入り口が見えて、学生がひっきりなしに出入りしていた。
「今日は午後からの日やねん」
ヒトミが言ってるのは講義のことだ。
ほとんどの講義はネット上で済ませることが出来るようになったけど、それでもまだまだスクーリング単位の必要な科目も多い。
「キョーコは、研究はどうなん?」
「ん。どうかなぁ……いつも通りかな?」
「あはは。なんやのんそれ。あかんやん」
ヒトミは、この分野の研究が今どうなっているか全く知らない。
どうしやって話そうかと考えていると、またメールが届いた。
「あ、携帯」
今日はやけにメールの多い日だ。
ポケットで振動。メール――コウイチロウからだった。
『少し時間が出来たので家に戻った。お昼を食べたらまた出る。今はどこ?』
「お、誰から?」
「友達から」
反射的にそう答えた。
何故、そういってしまったのか自分でも分からない。
メールは無視。
それから、ケーキを食べながらヒトミと他愛のない話をした。
久々に、なんだか生き返ったような気がした。
「そういえば、友達から車買ってくれへんかーって言われてるんよ」
「へえ」
車かぁ……ちょっと興味を惹かれた。
「車検が2年ほとんど残ってて、25万円やて」
「それ、大丈夫? 安すぎない?」
「ウチは車詳しくないけど、軽自動車やけどスピードでるらしいで」
「うーん。どんな車かによるけど、安くて良いね」
25万。買えないことはない。
帰ったら、コウイチロウに相談してみよう。
と、結局、今日もまたコウイチロウの部屋に戻るのだった。
苦笑するしかない。
To be continued...
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