若者のすべて(ルキノ・ヴィスコンティ監督作品) | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督・脚本 ルキノ・ヴィスコンティ

脚本 パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、

   マッシモ・フランチオーザ、エンリコ・メディオーリ

音楽 ニーノ・ロータ

撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ

編集 マリオ・セランドレイ

出演 アラン・ドロン、レナート・サルヴァトーリ、アニー・ジラルド、

   カティーナ・パクシヌー、ロジェ・アナン、クラウディア・カルディナーレ

1960年度 製作国 イタリア/フランス 上映時間 2時間57分(4K完全修復版)

 

ネオ・リアリズムの代表作「揺れる大地」の続編的位置付けの作品で、

貧しい南部ルカニアを逃れて、都会の北部ミラノに移住してきた一家の、

生きるための苦闘が冷徹な視点で描かれていますが、本作では一人の女性を巡る

兄弟の葛藤(カインコンプレックス)を、メロドラマとして強調するために、

アラン・ドロンやアニー・ジラルドといった美男美女の役者を配すことで、

映画が本来持つべき劇的な効果を上げています。

人間の屑である兄のために、自分を犠牲にしてまで救済しようとする聖人の如き弟ですが、

過保護と言える行き過ぎた優しさが、弱者の自立には繋がらないことを教えてくれる作品で、

プレヒトの言葉を借りるならば、

「英雄のいない時代は不幸だが、 英雄を必要とする時代はもっと不幸だ。」と

いう事になるのでしょう。

 

 

 

 

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