旅先のベニスで出会った少年に究極の美を見出した老音楽家の純愛は、
A(anusu)感覚的な性愛とは一線を画した、
声変わり前の少年(ボーイソプラノ)に対するプラトニックな郷愁が、
無情に過ぎていく時(老いの残酷さ)と対比して描かれていて、
心象風景のような映像美とマーラーの音楽が相まって、哀感へ誘われます。
主人公グスタフが、友人のピアノ演奏を聴きながら、居間で寛いでいる時に、
ふと目にした砂時計をみつめながら語る場面から。
覚えている。父の家にも砂時計があった。
砂の落ちる道が非常に狭くて、
最初はいつまでも上の砂が変わらずに見える。
砂が無くなったことに気付くのは、お終いの頃だ。
それまでは、誰もほとんど気にしない…
最後の頃まで。
時間が過ぎて…気が付いた時は、
すでに終わってしまっている。
※ Amazonprime配信字幕参照