フィツカラルド | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう


人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

監督・脚本 ヴェルナー・ヘルツォーク

撮影 トーマス・マウホ

出演 クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ、

    ホセ・レーゴイ 

1982年 西ドイツ


天然ゴムブームで沸き立つ19世紀の南米。
アマゾンの山奥にオペラハウスを作りたいという夢を持つ主人公フィツカラルドが、

建設資金を捻出するために、首狩り族と激流の川に阻まれて、誰も近づこうとしない

未開地にある無尽蔵のゴム林を目指して、蒸気船で無謀な旅に出るが、

激流の川を避けて目的地のある川に辿り着くために、フィツカラルドが考えた計画は、

二つの川を挟んだ山の斜面を切り開き、運搬船を引き上げて山越えするという

想像を絶するものだった。

多くのスタッフ、キャストが途中で逃げ出したという、リアリズムに拘ったヘルツォーク監督の、

妥協を許さない映画作りが主人公に投影されたような作品で、クラウス・キンスキーの

怪演と大自然の風景に終始圧倒される、本物のアドベンチャー映画です。

社会を変革してきたのは、フィツカラルドのようなロマンを持った愛すべき変人たちで、

彼らの周りには良き協力者が、光に引き寄せられる蛾のように必ず集まっくるのは、

アドベンチャーの語源であるアドベントが、キリストの到来を意味するように、

フィツカラルドが神に選ばれし人間だからでしょう。

ラストシーンで、彼を讃える人々に混ざって、パトロンである娼館の女経営者(クラウディア・

カルディナーレが好演)が、誇らしげに葉巻を燻らすフィツカラルドに対して見せる笑顔に、

希望を表現して見せたヘルツォーク監督は、小さい事に拘って、いつまでもイジイジしている私を

啓発してくれました。


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