ブリット | 人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

人力飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

ネットの海を漂う吟遊詩人になって
見知らぬあなたに愛を吟じよう

監督 ピーター・イェーツ

主演 スティーブ・マックィーン、ジャックリーン・ビセット

1968年 アメリカ



飛行少年の肉体を脱ぎ捨てたなら

















中学2年生の時に、友人に誘われてこの映画を観ていなければ、
映画を学ぶために上京することもなく、
別の人生を歩んでいたかもしれません。
当然、こうしてレビューに書き残す事もなかったでしょう。
それぐらい、私の人生のターニングポイントになった映画です。

私は当時主演のスティーブ・マックィーンの名前さえ知らず、
ポスターで大写しになった猿顔のマックィーンを見て、
アメリカを代表するアクションスターで、
日本でも人気があると友人に聞かされても、
映画館に足を運ぶことに気乗りがしませんでした。
TVで人気のあった『0011ナポレオン・ソロ』の
ロバート・ボーンが共演していなければ、
観る事を拒んでいたでしょう。
映画が始まってから暫くして、
寝巻き姿で髪の毛がばさばさの
寝惚け眼でいる中年オヤジが登場しますが、
それが、私が映画の中で始めて目にしたマックィーンの姿でした。
ヒーローは颯爽と登場するものとばかり思っていましたから、
やはり、私がポスターから受けたイメージを払拭するだけの
スターが持つ輝きを、画面を通しても
感じ取ることができませんでした。
ところが、ひとたび動きだしたマックィーンは、
様相が一変して、凄いオーラを放ち出すではありませんか。
犯人を追い詰めていく寡黙でクールなマックィーンのカッコよさに、
当時コマーシャルで流行語になっていた
『男は黙ってサッポロビール』のフレーズが頭をよぎった程です。
そして、あの伝説になったカーチェイスシーンで、
マックィーンを見る私の目からは、ハートが飛び散っていたはずです。
『男が男に惚れる』ってこういう事なんだと、子供心に得心しました。

この作品は、全編追っかけの映画で、
後のアクション映画に大きな影響を与えました。
製作者のフィリップ・ダントニ自身も、
寡黙なブリットから饒舌なポパイに人物設定を変えて、
さらに追っかけを進化させた姉妹編『フレンチ・コネクション』を
作ってアカデミー賞に輝きます。
私もこの作品に影響を受けて、
マックィーンの「追っかけ」になったのは、言うまでもありません。

最近、マックィーンの自伝が、6代目ジェームズ・ボンドの
ダニエル・クレイグ主演で映画化されることが発表されました。
彼が、再び脚光を浴びて、本作が若い観客によって、
再評価される日も近いでしょう。


(2009年3月2日)

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