無駄が嫌いで、価値を生み出せないことに時間を割くのがとにかくイヤだった。
目に見える価値や実績や成果、与えられる得や金額が行動の動機で、それらに繋がらないモノに投資するのは嫌で。
それと、手間や時間がかかることにもムダ避け意識とめんどくさい気持ちが発動し、なかなか行動に移せなかった。
好きなこと、やってみたいことにさえ、そうやって生きてきた。
そんなわたしだから、たかが寄り道すら、今までなかなかしてこなかった。
目的地にさっさと行きたいから、途中気を惹かれるものがあったとしても、とりあえずスルー。例えば喉が渇いたと思っても、コンビニに寄るのが面倒だからといつも我慢してきた。
だけど思い返せば子供の頃のわたしは、毎日寄り道ばかりしてた。
学校からの帰り道に道端のシロツメクサを摘んでは花かんむりを作り、砂浜に降りては貝殻を拾い、渡りにくいテトラポットを飛んでた。遠回りしては、人の家の裏をわざわざ歩いて。
一体いつから、
わたしはこんな風になっちゃったのだろう。
だけど今日は。
道路を外れて、寄り道してきた。
いい天気だし、海が見たいなと思って。
クルマで走れる珍しいビーチ。
知ってるけど、今までわざわざ一人で行くことのなかった場所。
自分で運転して行ったのは、初めてのことだった。