立川の学校教育を考える会より
「立川市の学校教育についての要望と提案」について立川市教育委員会の回答を公表します。
立川市の学校教育についての要望と提案
はじめに
国では子ども家庭庁の設置もあり、子育てと教育の政策が、大きな議論になっている今日この頃です。
立川サイエンスひとネットは、社会のサイエンスも探求しています。その実践として、「立川の学校教育を考える会」を立ち上げ、保護者・市民と学校教育について懇談し、意見・要望を出し合い、まとめをして、行政や政治家に提出し、要望と提案の実現を目指す活動を始めました。
オンラインを活用しだれでも参加できる定例会を、立川市教育委員会の「令和4年度 立川市教育委員会学校教育の指針」を題材にして議論を進めました。令和4年9月に第1回をスタートし、令和5年5月まで計9回実施し、延べ95名というたくさんの方々の参加で意見交換をしました。
毎回終了後、立川サイエンスひとネットの公式ブログやSNSで話し合われた内容を公表し、さらに、それらは多くの方々によってシェア・拡散されています。
本会の主宰団体である立川サイエンスひとネットの責任で、発言された数多くの意見を検討し、市内小中学校の先生方の意見もいただき、以下のような要望・提案に集約しました。
【1】学習について
1 多様な児童生徒の、一人ひとりに合った教育と行き届いた学習支援のために、教員の時間と余裕の確保、クラス定員数を減らすことを求めます(重点要望①)
理由
①教員が事務や雑務など忙しく、時間と余裕がない現状がある。
②全員同じ到達目標や評価基準で見ているため、多様なお子さんに合った教育が出来ていない。
内容
①国や都に関わることが大きいので、国や都にも、より強力に要請していただきたい。同時に、市独自でもできることを実行してほしい。市採用の支援員・指導員の増員や教員の働き方改革のさらなる推進を求めます。
②学習の理解が遅い児童生徒に対して、学年の枠を超えた学習などの補助、補講等を行ってほしい。また、一人ひとりに合った目標や評価で、学ぶことの楽しさ面白さを持てる内容と方法で、子どもたちを導いてほしい。
【回答】指導課
スクールサポートスタッフや副校長補佐、部活動指導員の配置をし、教員の残業は減ってきております。
また、個別最適な学習(学習の個別化、個性化)と協働的な学習など、多様な児童・生徒に合った教育を一人1台タブレットPCを活用しながら推進しております。
2 すべての子どもの学習を保障するために、学校内で学習に日常的に使う教科用の備品費、消耗品費を増やしてほしい(重点要望②)
理由
学習に日常的に使うもの(印刷関係の消耗品や文具等)や、授業で使う備品費や消耗品費の予算が極端に少ない現状があり、さらに物価高騰により、現場での教育活動に支障をきたしている。
内容
支援級や教育支援センターを含め、現場の意見を聞いて予算を計上してほしい。
【回答】学務課
日常的に使う教科書の備品費、消耗品費については予算の範囲内で各校優先順位をつけて購入しています。その他令和5・6年度は政策予算として、老朽化した大型テレビの更新のために、全校に電子黒板を導入する予定です。
3 タブレットPCの現状を把握し、子どもたち、保護者、教員の声を聞いて生かしてほしい
理由
タブレットPCの全員配布から3年を経て、実践上の問題が出ている。
内容
子どもたちや保護者からの声を聞く取り組みを実施し、現場の先生たちの負担を増やさないように改善してほしい。
【回答】学務課
保守事業者のヘルプデスクにより教職員からの問い合わせの対応を行っています。児童・生徒、保護者からのお問い合わせ等は学校にお伝えいただくことで、学校(教職員)からヘルプデスクに問い合わせをいただいております。お問い合わせ内容や課題、対応結果については、毎月定例会で保守事業者から報告を受けており、課題事項について対応しています。
【2】 特別支援教育について
1 支援員、指導員への発達支援のスキル、実践につながる研修をしてほしい
理由
支援員、指導員への研修がないため、現場で戸惑いがある。
内容
特別な支援が必要とされるお子さんを理解し、現場の実践につながる研修をしてほしい。
【回答】教育支援課
特別支援学級臨時指導員につきまして、「特別支援学級臨時指導員・学校介助員合同連絡会」を開催し、研修等の機会を確保しております。
2 情緒支援学級を中学校にも設置してほしい
理由
小学校で少人数の情緒支援学級を卒業したあと、中学の通常級で生活を送るには困難がある。
内容
小学校だけでなく中学でも安心して学習、生活できる環境として情緒支援学級を設置してほしい。
【回答】教育支援課
中学校への自閉症・情緒障害特別支援学級の設置につきましては、各校の状況等を踏まえ慎重な検討が必要であると認識しています。令和7年度を初年度とする「第4次特別支援教育実施計画」の策定作業も見据えながら検討してまいります。
3 特別支援学級の宿泊行事にバスを手配してほしい
理由
特別な支援を要する子どもたちの集団が公共の交通機関で安全に移動することが難しい。
内容
安全に移動できるよう公費でバスを手配してほしい。
【回答】教育支援課
安全の確保のため、学校において事前学習等を行い、必要に応じ介助員を配置しております。公共交通機関を利用する教育的な目的も考慮しつつ、検討してまいります。
【3】不登校について
1 不登校の子どもたちへの教育の保障、制度を作り本格的に取り組んでほしい
理由
①不登校が増えている。
②学校以外で通う場所として、小学生対象には教育支援センター「おおぞら」(柏小学校内)、中学生対象には教育支援センター「たまがわ」(錦学習館2階)、それぞれ1か所しかない。遠い地域から通う場合、負担が大きい。子どもの教育を受ける権利が保障されていない。
③フリースクール登校や自宅学習などへの、出席の取り扱いが学校によってまちまちである。
内容
①学校以外で通う場所を増やしてほしい。学校内にも居場所を確保してほしい。
②フリースクール登校や自宅学習などの出席の取り扱いを市で検討して共通にしてほしい。その際、できるだけ多様なケースを認めてほしい。
【指導課】
民間のフリースクール等を含め、周知する予定です。また、出席の取扱については、個々の実態に応じて学校長が判断するものとし、基準として文部科学省の通知を周知しております。同じ形態での学習であっても、一人ひとり学習状況が異なるため、基準に照らし合わせて判断しているものと捉えております。
【4】連携について
1 幼稚園・保育園から小学校への連携がとれる施策をお願いしたい
理由
中学校は校区があるので中学校と小学校の先生は引継ぎの会議で話す機会があるが、幼稚園・保育園と小学校は先生が話す機会はほとんどない。教育やしつけの考え方や子どもの発達の理解が違うように感じる。
内容
幼稚園・保育園・小学校の先生が合同で研修を行うなど、コミュニケーションや共通理解が図れる機会を設けてほしい。
【回答】指導課
小・中連携教育担当者連絡会にて、各中学校区ごとに幼稚園・保育園の教員を招聘し、情報交換しております。また、小学校全校で入学前の学校体験、情報交換等を行っております。
2 立川市作成の個別支援シートを適切に活用してほしい
理由
幼稚園・保育園からの個別支援シートの種類が統一されていないなど、活用のしにくさが指摘されている。小学校の先生が丁寧に確認する時間の余裕がない。
内容
教員や保護者の声をきき、要点を書きやすく読みやすい形式にするなど、活用しやいものに改善してほしい。教員に時間と余裕が持てるように、都や国に働きかけてほしい。
【回答】教育支援課
学校での教育的支援を考えるにあたって、園や保護者からお子さんに関する支援のヒントを記入していただく「就学支援シート」の活用を進めています。毎年度、様式を10月頃にWebにて公開及び市内保育園・幼稚園に配布しております。学校にて作成・活用する学校生活支援シートにつながるよう、今後も引き続き、内容等の検討を行います。
3 教員が保護者・地域とコミュニケーションがとれるようにしてほしい
理由
教員、保護者・地域が連携して子どもたちの最善の利益になる行動につながるためにコミュニケーションが必要だと考えるため。
内容
教員に時間と余裕が持てるように、都や国に働きかけてほしい。教員、保護者・地域がコミュニケーションをとれる機会を市の主導で設定してほしい。
【回答】指導課
全校コミュニティスクールとして、地域と連携し、教育活動を進めております。
【5】 中学校の課外活動について
1 生徒誰もが希望する部活に入れる形を市全体で研究し実行してほしい
理由
顧問になる教員が足りていない。小学校のクラブ活動でがんばっていたことが中学で継続できず、子どもの意欲や可能性を伸ばすことができずにいる。
内容
生徒も参加する開かれた検討委員会を設置し充分な議論をして施策を決めてほしい。地域に移行し団体に委託した場合の参加費用の保障や補助、指導員の研修をお願いしたい。
【回答】指導課
令和5年度中に、学識経験者や地域関係団体、保護者、学校長、市職員等で構成する中学校部活動の地域連携・地域移行に関する検討委員会を設置し、令和5年3月に東京都が策定した「学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画」を踏まえ、本市における部活動の地域連携・地域移行の在り方や取組の方向性等について検討していきます。
2 中学校科学教育センターの設立を求めます
理由
59年続いている小学校科学教育センターで育った大勢の児童が、中学生になっても継続して科学の探求ができる場がない。部活としての科学部もほとんどの中学校にない。
内容
市が3年前から検討してきた中学校科学教育センターの早期設立を求めます。
【回答】指導課
小学校科学センターでの、子どもたちの学びをしっかりと中学校にもつなげていくことは大切であると考えております。今年度は中学生を対象に、都立立川高校との連携による探求的な活動を重視した「中学校夏季科学講座」を実施し、生徒の科学に関する興味・関心を高める取り組みを実施し、中学生が科学を探求する場を充実させています。
【6】子どもの権利条約の実践について
1 子どもの権利条約の観点で「立川スタンダード」を見直し改善してほしい(重点要望③)
理由
立川市独自の様々な「スタンダード」があるが、子ども主体を感じられない。
内容
子どもの権利条約をもとにした子どもの最善の利益を保証した「子どもファースト」の教育を進める観点から、立川市独自のいろいろな「スタンダード」や各校の校則をはじめ、全ての教育活動を児童生徒の参加も得て点検・評価し、常なる改善を図ってほしい。
【回答】指導課
立川スタンダードは、主体的・対話的で深い学びを実現させるために、教員が自らの指導(授業)を振り返り、自己評価できるようにしたものです。作成から一定期間経過し、その内容について見直すことも検討していきます。
回答以上
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