「宇宙に会いたい」
それは子供の僕の最大の夢だった。昔の中国で「世界のミステリー」をタイトルとする本がすっごく多かった。日本も同じだけどね。

中国中央テレビCCTV 10に、UFOや宇宙人を内容とする番組がしょっちゅう放送された。
本を読んでテレビを見て、宇宙人に会いたい、宇宙人のことをもっと知りたいという考えと妄想に耽るのは僕の日常だった。

ある意味で宇宙人は僕の救世主だった。神様が存在するかどうかわからない。そもそも、マルクス唯物論をイデオロギーとする社会主義中国では、民間の習俗などまずおいとき、公式の見解では神も妖怪も存在しない。でも、宇宙人は存在するかもしれない。これは科学的に証明できないことだが、否定もできない。

僕の子供時代は明るくなかった。母親は厳しくて神経質だった。僕は生まれつきのコンプレックスと悲観気質を抱えながら生きていた。
学校の授業は退屈。また、小柄なのでよくいじめられた。いじめられたら親に「男なら殴り返せよ」と言われた。宿題もやりたくなかった。心の拠り所がなかった。正直苦痛だった。

いや、拠り所は一つあった。それは宇宙人だ。👽宇宙人に救われたい。地球から逃げ出したい。あるいは、宇宙人からドラえもんのようなロボットがもらえばいいなと思った。

僕は選ばれる人になりたい。宇宙人に選ばれたい。その妄想に耽りながら子供時代を過ごしたのは僕だ。宇宙人という幻の救世主がいるから精神的に少し楽になった。

宇宙人、ありがとう!