録画していた「阿修羅のごとく」の2をやっと観ました。凄く濃密に作ってある作品なので、片手間に流し見はもったいないのでテレビの前におじゃんこ座りをして観なくてはなりません。どたばたと忙しい年末をやり過ごして年が明け、やっと時間が作れました。

 

男女と家族の愛憎が描かれています。生きていくには常識やら世間体やらうるさいことが多々あるけれども、人の心は複雑怪奇と摩訶不思議でそんなものにはとらわれない、一人一人それぞれ勝手な思惑がありますなあ。面倒くさいけれどどうしようもないのですな。なんて思いながら観てました。

 

一番気にいったシーンが、佐分利信が自分を「パパ」と呼んで慕ってくれる愛人の息子(小学生)と喫茶店で会って、勉強を教えながらケーキを食べるところです。佐分利信演じる竹沢恒太郎は60歳過ぎの老人。普段は口数も少なく娘たちに話しかけられてもろくに返事もしない。もちろん、甘い物なんて口にしない。でも、その男の子と会っている時は、愛情をかけている男の子が嬉しそうなので自分も嬉しくてケーキを食べるのである。

 

口に入れる量が絶妙。甘いものは好きではないけど、男の子がそれに気づかないくらいの量を入れているのである。

 

その表情も楽しくて嬉しいけれど、やっぱり甘いものが美味しいわけではない、という表情なんです。素晴らしい!

 

燻し銀の魅力、佐分利信。