2月17日に前売開始しました。

 

『昭和虞美人草』は文学座アトリエでの上演。

文学座アトリエでは、通常約150席での公演を行っていますが、今回は客席数は50%程度での上演となるため、1ステージの客席数がかなり少なくなります。

 

そのため、すでに大半のチケットが売れておりますが、まだ全てのチケットが売れているわけではありません。お早めにご予約いただければと思います。

『昭和虞美人草』のチケットは、以下の方法でご購入できます。

 

○ 文学座オンラインチケット (24時間受付)

 

○ 文学座チケット専用ダイヤル 0120-481034(シバイヲミヨー)
  (10時~17時/日祝を除く)

 

イープラスでは、ライブ配信&アーカイブ配信のチケットもご購入できます。

映像配信でも十分楽しんでいただけると思いますので、是非配信チケットもお求めください。

 

ご不明な点がございましたら、文学座までお問い合わせください。

 

文学座 03-3351-7265 ( 10:00→17:00/日祝除く )

 

 

 

さて、稽古もどんどん進んで、先日ざっと幕開きから最後まで通し稽古をしました。

といっても、途中で止めずにとりあえず順番に最後までやってみるという感じのものでしたが、出演者からすると1日の稽古で全シーンをやるのは初めての日なのでやはりそれなりに緊張はしました。

 

 

 

 

 

 

 

稽古場日誌5で、『虞美人草』と『昭和虞美人草』のあらすじを比べてみましたが、今回は登場人物について比べてみようと思います。

 

 

こちらは『昭和虞美人草』の台本。

 

小説『虞美人草』は、僕の持っている文庫だと物語自体は約350ページ。

『昭和虞美人草』の台本は、約160ページ。

 

ページの行数は違いますが、単純に小説の半分以下ということになります。

…もし舞台の台本で350ページだと、とんでもない上演時間の作品になってしまいます。

 

 

台本の配役表。

 

稽古場日誌5での、『虞美人草』の出版社ごとのあらすじの比較で、岩波が”男女6人の若者たち”という言葉を使って、群像劇という色合いの濃いあらすじを出していて、この群像劇という形が今回の『昭和虞美人草』に最も近いというお話をしました。

 

台本の配役表でも、この男女6人については、小説の『虞美人草』とほぼ同じ名前。

 

小説を読んだ時に気になったのは、夏目漱石は「甲野さん」「小野さん」と呼び、「宗近君」「浅井君」と、人物によって「さん」と「君」を使い分けて呼んでいること。

 

新潮文庫の解説では、小野のモデルは中川芳太郎氏、宗近のモデルは野村伝四氏というのが漱石の弟子たちの間では一致した意見だったと書いてある。

 

中川芳太郎と野村伝四は東京帝国大の英文科でともに漱石の教えを受けた同級生で、他に森田草平も同級生です。たしか小山内薫も同じ英文科で卒業年度は同じだったはずです。

 

中川芳太郎は、卒業論文で漱石から最高点をもらっていて、その後、漱石の「文学論」にも関わっている。

野村伝四は、漱石が最も愛した弟子ともいわれているようで、1910年漱石が修善寺温泉で胃潰瘍で喀血した際、肉親も面会謝絶だったのに野村伝四は夜を徹して看護したそうです。

 

本当にモデルとされていたのかどうかは定かではありませんが、なんとなく分かる気がします。

 

ただ、困ったことに、小野については厨川白村とする情報もあります。

厨川白村も同じく東京帝国大の英文科卒。1921年に朝日新聞で連載したエッセー「近代の恋愛観」で恋愛至上主義を説いた人。

 

結局、誰がモデルかはっきりしないのですが、誰がモデルであっても面白い。

漱石の他の小説でも、あの登場人物は誰がモデルだとか、そんな情報がたくさんあります。

漱石の小説は、人物の内面の描写が生々しくて、読んでいてとても引き込まれる部分があるのが特徴だと僕は思うのですが、そういった意味では登場人物のすべてにモデルはきっといたのだろうと思います。

 

小説はすべて言葉で書かれますが、舞台では台詞以外は言葉で表現はされません。

小説での生々しい内面も、我々は台詞と身体で表現しなければならないので、そこが今回の難しいところであり醍醐味といったところでしょうか。

 

 

それと、『虞美人草』には、シェイクスピアの戯曲に登場する人物が意識された登場人物が多いと言われています。

誰が誰でと解説し始めると、作品の面白さを奪ってしまうことにもなるかもしれないので詳しくは説明しませんが、興味のある方は調べてみてください。

 

漱石自身、英文科ということもあって、シェイクスピアにとっても造詣が深かったようで、『虞美人草』以外の小説にもシェイクスピア関連の引用やモデルが出てきます。

 

『虞美人草』の研究本の中に、『虞美人草』は演劇的だとする意見があるのを読みましたが、漱石がシェイクスピアに造詣が深かったこと、シェイクスピアの作中の人物に似た登場人物がいること、ストーリーの展開など、なるほど確かに演劇的なのかもしれません。

 

『昭和虞美人草』は、小説の『虞美人草』をそのまま舞台化するわけではなく、翻案された作品なので、人物についても小説と全く同じではありません。

小説の人物像をベースにしながらも、やはり人物そのものも翻案されていると思います。

 

 

小説を参考にしたり、小説から離れたり、現在の稽古ではその細かな部分での挑戦が続いているように思います。

 

 

前売りも開始して、チケットもどんどん売れている中、稽古にはますます熱が入ってきております。

 

皆様のご来場をお待ちしております。

 

 

小野清三役 植田真介

 

 

文学座公演  

『 昭和虞美人草 』    

作:マキノノゾミ
演出:西川信廣
   

【出 演】
早坂直家、植田真介、斉藤祐一、細貝光司、上川路啓志、
富沢亜古、伊藤安那、鹿野真央、髙柳絢子、平体まひろ


3月9日[火]→3月23日[火]
会場:文学座アトリエ
一般前売開始  2月17日(水)

[地方公演]
3月27日[土]~29日[月]
会場:可児市文化創造センター

 

 

映像配信もございます。

映像配信の視聴チケットは2月17日12時より販売開始。

 

公演詳細はこちら↓