人生で一番楽しくなかった年末年始を過ごした僕はなおも就活を続けた。

霧が完全に消えたわけではないけど、どちらに進めばいいかは少しだけわかってきていた。


僕に足りなかったのは「経験」だった。抽象的だけど、「経験」だった。

自分の頭で考え、行動し、自分の力で生きていくという経験。

それは勉強だけでは手に入らないもの。思えば、昔から勉強ができるというだけでちやほやされて、お金に困るという経験もないまま、たいした苦労もしないまま、僕は生きてきてしまっていた。そういうところが面接でも出ていたのかもしれない。

僕は少しでも今までの自分を良い方向に変えられるように、考えて、情報を集めて、行動した。

その中でも、とあるブログの著者の方には本当にお世話になった。今の僕があるのはこの方のおかげといっても過言ではない。感謝の一言。


そういう風に自分の思考が変わり始めたのが、2010年12月の中盤頃。

僕はそのころから、そういう今の自分に足りないのものも含めて、これからの思い、営業だろうとなんだろうとやらせて欲しいという思い、苦労をしたいという思い、を面接で話すようになっていった。

ちょうどそういう思考になり始めた、12月中盤から面接を受けていたベンチャー企業の選考が上手く進んでいた。

そして、1月某日。僕はベンチャー企業から内定をもらうことができた。

初めての内定。都会の喧騒の片隅で泣いた。正直に言うと泣いた。たかが内定かもしれないけど、僕にとってはとてつもなく価値のあるものだった。

会計の知識を生かせるところで、実務要件も可能性はあった。何より嬉しかったのが、新卒枠でのエントリーだったそのベンチャーで僕が唯一の内定だったこと。僕が応募する前はなかなか良い人がいなくて新卒採用はゼロにしようかという話だったらしい。僕の思考が変わり始めた時期とベンチャーの内定がもらえた時期は偶然ではなく、必然的に重なっているんだと僕は思う。


内定をひとつ手にした僕は、ギリギリまで待ってくれるというベンチャーの社長に感謝しつつ、自分の納得のいく就活を続けた。

そして出会ったのが今僕が仕事をしているコンサル会社だ。

実務要件を満たせる会社であり、何より監査法人では積めない経験を今現在たくさん積ませてもらっている。まさしく自分が望んだ最高の環境が手に入った。面接官に選んでもらった。偶然の要素もあるだろうけど、やっぱり思考の変化をしていなかったら内定は手に入っていないと思う。


論文式試験終了からの5ヶ月間は本当に地獄だった。努力して難関試験に合格したのに就職出来ないという、体験した者にしか絶対にわからない苦しさを僕は味わった。

でも、この経験は絶対に無駄じゃなかったと思う。逆境が人を成長させるというのは間違いじゃ無いと思う。あの経験があったからこそ今の僕がある。つまり、あの経験が無ければ今の僕はいない。

この記事ではずっと「今思えば」というのを後悔と結び付けてきたけど、僕は思う、あの経験は絶対に無駄じゃなかった、「今思えば」ね。


                                                 了



~追記~

今現在も就職活動を続けている合格者の方達がいると思います。

絶対にあきらめないで頑張ってください!この苦しさを絶対に無駄しないように、将来に生かせるように、あきらめないで下さい!というか考え方次第で絶対に無駄になりません!就活が上手くいくように心から願っています。