出典元:映画.com

 

昨日見てきました。主演の役所さんは長崎ご出身で、福岡の方言はなまじっか似てるだけに違いを出すのが難しいと悩んでいたそうですが(西川監督談)

 

私が九州出身じゃないからかもだけど、役所さんの方言で怒鳴るシーンは本当に圧巻で怖かった💦

華大さんも言葉遣いに関してはほめていたので、多分折り紙付きだと思うんですが。

 

西川美和監督は、これまですべてオリジナルを手掛けてきた才能ある女性監督で、「ゆれる」を見たときは震えましたね。すごい人が出てきたんだと。

作家にもなりたかったそうだから、書く才能もある方なんだろうと思います。

 

 

また監督さんというと「~組」と称してその作品に出る常連役者さんがいると思いますが、西川さんの場合考えてみると毎回俳優さんの顔ぶれが違う。その辺も興味深いですよね。俳優さんが納得いくまで話し合う、懐に入るのが上手な方のようです。

 

さて今回の作品は佐木隆三氏の「身分帳」が原案だそうで。身分帳というのは、刑務所でその人がどんな言動をして罰せられたかなど生活態度が詳細に書かれているノートのようです。

 

三上(役所広司)は4歳で母と生き別れ、保護施設で育つもののそこを飛び出し、チンピラの世界に。計20数年もの間刑務所に入っていたという人です。

 

「一匹狼」というものの反社の世界にいたことは確かであり、刑務所でも「〇〇組の親分さんと仲良くなった」と言ったりする。

 

だけど「もうカタギで暮らしたい」と13年の刑期を終えて出所した時に身元引受人(橋爪功)に訴えるのでした。

しかしそんなに世の中は甘くなく、中年でムショ上がりの人がすぐ就職できるところはない。

 

生活保護を受けつつもなんとか自分で働いて生活したいと望む三上、保護が受けられるのならもっとのうのうと暮らしてもいいと思うのだけど、そういうことはできない性分。

 

「お世話になって生きるのは嫌だ」と就職活動の一環として期限切れになった自動車免許を再度取り直そうと奮起します。

この運転免許試験受けるとことか、面白かったなぁ。刑務所でのクセが抜けていないので、手足を大きく振り上げて行進しながら車に乗るという(笑)

 

三上は短気で激高すると手に負えない乱暴を働いて、それが今まで仇となっているのですが、本当はまっすぐで正義感が強く、弱い人がいじめられているとほっておけない優しい人なんですよね…。

最初は三上をテレビのネタにしようと目論んでいた津乃田(仲野太賀)・スーパーで万引きしたと勘違いした店長(六角精児)など、三上の人柄に惹かれる人々が次々と彼に支援の手を伸ばします。

また配役がいいですよね。橋爪功さんはもう間違いないですが、その妻役に梶芽衣子さんが配されていたのもよかったし、昔の仲間に白竜・キムラ緑子という、これとない素晴らしいキャスティング。

 

特に白竜・緑子は決して出番は多くないものの、強烈なインパクトでした。

 

そういったミドルエイジ~の俳優さんの中にあって、フレッシュでいいカンフル剤だったのは仲野太賀さん。彼はやっぱりいい俳優です。

 

監督は「役所さんと共演するの早すぎ」と突っ込んでましたが(笑)まぁそうかもしれんですが、彼の存在は大きくてその演技にも泣かされました。

 

三上と一緒に銭湯でお風呂に入り、背中を流すシーンにはぐっと…

津乃田がどういう幼少期を過ごしたかは定かではないですが、三上を半ば父のように慕っているように私には見えました。

 

ちょっと前に藤井直人監督の「ヤクザと家族 The family」を見てきましたが、ヤクザだった人が更生しようとするものの、そう簡単にはいかない、生活弱者に過酷な今の日本を鋭く描いた意味では両作品はとても似ていると思いました。

 

詳しく書くネタバレになっちゃうのであれですが^^;アプローチの仕方は全然違いますけど、そういう人への「温かい視点」が両監督にあるのだなと感じました。

 

 

しっかしやさぐれた綾野さんはいいっすよね。今度日テレでラブコメ初挑戦?なのかな。楽しみです。

 

「すばらしき人生」というタイトルは最後まで見ると腑に落ちます。そしてじ~んと来ます。帰りのバスもところどころのシーンを思い出して泣いてしまいました…。

 

改めて…検索するとすごい役者さんです、役所さん(なんかシャレみたいになっちゃいましたが)役の幅が半端じゃない!

 

 

 

 

 

仲野太賀君の怪演はこちらでどうぞ。huluでまだ見られるのかな?私はこのドラマでファンになりました。

わき役なのにスピンオフドラマできたぐらいですからね。