映画を見ることの楽しさのひとつに、自分ではなかなか行けない国の風景・生活・文化が垣間見られる…という点があると思うのですが、レンタルで時々「これはヒット!!」と思う作品にも出会います。
インド映画らしくやはり踊りと歌、ラブストーリーの要素も盛り込まれていますが、「ムトゥ~踊るマハラジャ」(懐かしい!)などに比べると少なめかな。でもいきなり踊りだしちゃうんで、そこは慣れていない方ご注意かも?インド映画は時間も長いものが多く、2時間~3時間超の作品もあります。
画像引用元:https://eiga.com/movie/82542/
このかわいい女の子・シャビーダーといいます。表情豊かで素敵な子なのだけど、言葉が話せません。聴力はあるのだけど。将来を心配した両親は、決心の末パキスタンから国境を越え、インドに願掛けに行くことを決心します。インドとパキスタンは政治的・宗教的にも対立しており、隣国に行くにもビザが必要なわけで一大決心です。
ところが列車に乗ってるときに、お母さんとはぐれてしまい、彼女はインドで迷子に。そんなときに出会うのがパシュランギおじさん。この方掛け算の九九も覚えられず(インドは11の段…まで覚えさせられるんですっけ?)勉強では落第生。父親には厳しくしつけられます。ですが心はとても優しく、信心深いヒンズー教徒です。ヒンズー教徒って階級も厳しいんですよね、そんなところも無宗教で過ごしてきた私には驚くことだらけなのですが。
彼には将来を誓い合った恋人も。しかし彼女の父親が厳しく、「自分の家が持てるまで結婚してはいかん」と言い渡されるのです。いいなずけとの婚約を破棄しちゃったわけだから仕方ないのか。
インドの女性はふくよかが美人の条件かと思いきや、彼女はスレンダーですよね。なぜか大谷直子さんの若いころを思い出しました(笑)この写真じゃあまり似てないけど^^;
シャビーダーはパシュランギの恋人・ラスィカーの家で預かることになり、同じ年ごろの男の子(おそらくラスィカーの弟)もいるので、楽しく過ごしているのですが、(この辺は大らか)テレビでのクリケット観戦で、なんと彼女がパキスタン人でありイスラム教徒であることも判明、こ、これはヤバい。
ラスィカーの父親は「異教徒は泊めてはいかん」と前から言っていたので、パシュランギどうする!?という話になってきます。
ビザも旅券も持たないシャビーダーを、まさに命を懸けてパキスタンの家まで送り届けようというとんでもない旅が始まるのでした。
まぁ後半は涙涙…であります。ちょっと展開に無理が、という部分もないではないのですが、それでも敵国の人間・パシュランギに手を差し伸べてくれるパキスタンの善良な人々。イスラム教の方が寛容なのかなと見ながら感じてもしまいました。どこに住んでいたかもわからないのに、彼女は無事帰れるんだろうか?と心配しつつ。どこか牧歌的でホッとする面もある不思議な映画です。
見た人の感想を読んでも「泣いた」というのが多かったですが、私も大泣きでしたね。特にラスト…。インドとパキスタンは今も難しい状況が続いているようですが、いつか氷解するといいよね、そんな思いもこもった映画なのではないでしょうか。
封切りは去年ですが、今も吉祥寺の映画館ではリバイバル上映もしているようですし、話題作だと思います。大きいスクリーンで見られるチャンスがあったら見たかったなぁ。インド映画熱いですよ。「きっと、うまくいく」も名作でしたし、「女神は二度微笑む」は明るいインド映画とは一線を画した面白いサスペンス映画ですので、多くの方に見てほしいなぁと思っています。
作品公式サイトは→http://bajrangi.jp/index.html