AKBのコンセプト「会いに行けるアイドル」は、今では「ファンが育てるアイドル」へと進展した感があります。ファンから見れば、押しメンができ、その押しメンをセンターに立たせたいと思うのは必然の流れかと思います。


まだまだ人気薄だった頃に、ファンからの「AKBは誰が誰だかわからない」との声に応えるべく、スターを造ろうと抜擢されたのが前田敦子さんだとか。厳しい指導で有名な振付師の夏まゆみさんが秋元康氏に押した経緯だったとのことです。引っこみ思案で、自分から目立とうとしない前田敦子さんがセンターに抜擢されてからのAKBは周知のとおりで、今に至っています。


2トップと呼ばれる大島優子さんの人気も凄いものがありますが、センターを務めたヘビーローテーションをきっかけに、二人のセンターを比べて見たところ、なるほどと納得しました。


ダンスやパフォーマンスは大島優子さんが断然上かと思います。でも、大島優子さんがセンターだと、ひとり目立ち過ぎ、AKB48が「大島優子とバックダンサーズ」のようなイメージになりそうです。


当初の劇場公演やコンサートを念入りに観てみると、前田敦子さんは、常にメンバーとの調和を図りながら、あえて目立った動きを抑えているように見受けられます。その結果、センターだけが目立つのではなく、AKB48のチームバランスがとれ、センター以外のところで個々にカメラで抜かれたときにハデな動きをするAKB48特有のパーフォーマンスが魅力にもなっていると思います。センターポジションは元来目立つ場所であることをよく理解してのことで、個人押しだけじゃなく、AKBが好きなら納得いく人選だと感じます。普段、物静かなイメージで、神秘的カリスマ性をもつ彼女がセンターに立つだけで輝きとオーラを放ち、全体をバラバラにしない存在感は、他ではマネできないものがあります。


そんな中で、時々、センターを変えるのがAKB48として新鮮さを保ち、今の人気につながったのではないでしょうか。特に、ヘビーローテーションは、底抜けに明るく元気なイメージの大島優子さんにピッタリで、選ばれてから振付を決めた感があります。各チーム公演でのヘビーローテーションを見比べると、やっぱり、この曲は大島優子さんが一番似合っていると思います。