「自分で体を洗う」
と、お子様が言い出した。
今までお風呂では、僕がお子様の頭を洗い、体を洗っていた。お子様の仕事は、お風呂に入浴剤を投入し、泡がはじける様子を観察することだった。
自分で体を洗うのはよいことだ。だが、なぜ突然そんなことを言い出したのだ?
聞いてみても「ひみつ」。
まあいい。
やらせてみると、なかなか器用に洗う。
「耳の裏とあごの下も洗った方がいいな」とアドバイスすると、素直に従う。
風呂から出た後、奥様にレクチャーを始めた。
「耳の裏とあごの下は溜まりやすいから、お母さんもきちんと洗わなきゃだめだよ」
まあなんというか、自分でやってくれるのは楽と言えば楽なのだが、それなりに時間がかかる。
湯船につかりながらお子様を眺めているわけだが、お子様洗いの終了を待ち、それから入浴剤を投入し、すべて溶解するのを待つ。
なかなかの時間が必要となり、いささかうんざりする。