お子様は言うのである。「じゃあ、お子様ちゃんはカールってことね」
カール・ルイスでもないし、ダニエル・カールでもない。カール・ラガーフェルドのことだ。
モードの帝王と呼ばれた、シャネルのカリスマデザイナー(故人)。
超細身のジャケットを核とした特徴的すぎるファッションで有名だが、実は昔はデブちゃんで、還暦を過ぎて一念発起、42キロダイエットに成功したことでも知られる。
その時に残した名言が、「服があなたに合わせるのではない。あなたが服に歩み寄るのです」だ。
何でお子様が「私はカール」と言い出したのかというと、パリピ孔明だ。
パリピ以下略に出てくる嶋田久作演じるフェス・オーガナイザーがラガーフェルドをオマージュしたというか、攻めすぎなぐらいにそっくりなのである。
特に口元。あと指切りグローブとかポニテとか。
カール(上)、嶋田久作(下)
というわけで、お子様に「あれはラガーフェルドのパクリだ」と説明したところ、「ラガーフェルドって誰?」
子どもの好奇心は満たす方向で子育てすべきらしいから、さっそく所蔵のDVD 「サイン・シャネル~カール・ラガーフェルドのアトリエ」を見せた。
名言集も読み上げてあげた。
その結果、すっかりラガーフェルド気取りになり、親を顎で使うようになった次第である。
顎で使うのはいつも通りだか。
「ズボンのすそ、1センチ上げてくれる?」「お子様ちゃんが家に帰ってきたら、皆に電話して(みんなって誰だ?)」「お父さんは靴をもって、玄関と部屋を往復して」
その有様を忍耐強く見守っていた奥様だが、さすがにお子様が「スウェットパンツは負けだよ。自分の生活をコントロールできていないんだよ」と言った時には、いら立ちを隠さずに怒鳴った。