私のスマホに配信されるニュースによれば、世の中はNHKの青山祐子アナに批判的な視線を投げかけているそうです。

 

なんでも、産休と育休を繰り返して6年連続で仕事を休み続け、ついに4人目が生まれたところで退職したということで。

 

というわけで、青山アナが日本円でどれぐらいの「迷惑」を世間にかけたのか、具体的に計算してみました。

 

まず、青山アナに支払われた産休・育休の給付金の額。

 

産休・育休中は無給の休職状態になるのですが、健康保険と失業保険から給付金が支払われます。まあざっくり言って、「国民負担」です。

 

スポーツ新聞によれば、「NHKアナは年収1700万円とも言われ、育休給付金は1000万円はくだらないでしょう」とありますが、これは間違い。

 

確かに2年間産休・育休を取ると、前半約8ヶ月はそれまでの給料の3分の2、その後は半額が出ます。

 

ただ上限があって、前半8ヶ月は月額29万9千円、その後は22万3000円までしかもらえません。

 

この金額が、青山アナ批判派がいうところの「世間にかけた迷惑」の主なところでしょうか。

 

と、言いたいところですが、「産休・育休を最低限で切り上げて、子供を保育園に預けて職場復帰。給付金を受け取る期間を最低限まで減らした場合」と比較するのが、フェアというものです。

 

では、育休を最低限にして、生後60日から受け入れてくれる保育園に子供を入れて職場復帰、ということにしましょう。

 

その場合、健保・失業保険は復帰した青山アナに、月22~29万円の給付金を支払う必要はなくなります。

 

ところが今度は国が、青山アナが使っている保育園に運営補助金を支払うことになります。

 

財務省の2017年資料で計算すると、この補助金は、子供1人あたりの平均で月7万5000円だそうです。

 

青山家のように子供が3人いると、3人分で月22万5000円、国は保育園に補助金を支払わなくてはいけないわけです。青山アナのために。

 

※青山アナは高給取りで平均より保育園利用料が高いから、国の負担はもっと少ない、というご指摘もあると思います。それはそうですが、親の負担は2人目は半額、3人目は無料です(自治体により多少異なる)。そこを考えると、そんな大差ないんじゃないの、ということでご勘弁を(計算が面倒くさいので)。

 

要するに、こうです。

 

青山アナが育休をとって3人の子供を自分で育てると、国民(=健保・失業保険)は青山アナに毎月22万3000円~29万9000円を支給しなくてはならない。

 

青山アナが子供を保育園に預けて職場復帰しても、やっぱり国民(=国)は月22万5000円を、保育園の方に支払わなくてはならない。

 

ぶっちゃけ、どっちにしても大して変わりません。

 

しかも青山アナが働きに出ると、貴重な保育園の枠が青山家のために3人分も埋まってしまいます。

 

青山アナが世間の批判に耐えかねて働きにでると、国は保育園を増設しなくてはならないので、さらに多額の支出が必要になるわけです。

 

ついでにいうと、今度から3歳児以上の保育園は無料になるので、青山アナが職場復帰した場合の国の負担額は、さらに増えることになります。

 

こうなると間違いなく、青山アナ的な立場の人は保育園を利用して職場復帰するのではなく、給付金をもらって家で育児に専念していただいた方が世の中には「(金銭的な)迷惑」をかけていない、という計算になります。

 

というか、この理屈で行くと、すべての女性は仕事を辞めて子育てに専念すべきって話になるような気もしますね。

 

まあNHKの給与水準がどうなのか、と言うのはまた別問題として。

 

★★★★

 

しかし、私も最初に「6年連続で産休・育休を取り続けた」と聞いたときは、ちょっと「ええっ」って思いました。

 

でも冷静に考えてみると、3人子供を産んだら、連続で取るか細切れに取るかの違いはあっても、合計6年弱の育休・産休を取ることになるのは当然なわけです。

 

夫婦2人の間に生まれた子供が2人で打ち止めだったら、人口は横ばいのままで、少子化問題の解決にはつながりません。

 

独身の人や一人っ子家庭がある分、どこかの家庭が3人以上子供を産まないと、日本の人口は減り続けてしまうわけです。

 

逆に言うと、3人子供を産んでも仕事を続けられるという社会的な保証がない限り、少子化問題は解決しない、と言えるのかもしれません。