転職して3年目に入った1982年、上司である課長から「計数部(今で言う情報システム部)が主催する勉強会に各課から1人参加するよう言われているので出てくれ」と言われました。

 

連日、深夜帰宅で繁忙を極めていて「またなんで俺が・・」と思いましたが、私の課で一番若かく、他の誰も出たがらないので嫌々参加したのは当時まだ珍しい表計算ソフト、PIPSの勉強会でした。

 

その年に入社した新入社員の女性が講師で「皆さん、こんにちは。今からボーリング大会の点数表を作ります。

え~~、まず最初に5人の参加者の名前と3ゲームの各点数を入力して下さい」と3時間の勉強会が始まりました。

 

”やれやれ大事な就業時間を使ってボーリングの点数表作りかよ”と内心思いましたが、講師の子が活舌よく話して、可愛かったので大人しく受講することにしました。

 

言われたまま入力が完成すると講師が「では3ゲームの合計を出す方法を教えます」、「次にアベレージを出すやり方を教えます」、「最後に順位を付けるために、アベレージの高い順から並べ替える方法です」。

 

ここまで来た時“不純だった動機”が興味と淡い期待に変わりました。

 

私は小学校から大学までまともな勉強をしたことがない劣等生だったため、数学や現国の文章読解能力といった基本的な学力が平均以下です。

 

最初に入社した会社はファッション系だったので、感性で仕事すればよかったのが、27歳で転職した会社が旧財閥系の製造業で、顧客もカーメーカーだったので普通以上の事務処理能力が要求される職場でした。

 

特に大変だったのが半年に1回あるカーメーカーとの価格交渉での社内資料作りで、普段でも毎日終電に間に合えば喜んでいたのが、その時期は午前2~3時までは当たり前で完徹の日も何日かあるほどでした。

 

デイリー・ワークが終わった23時頃から誰もいないフロアで1人、資料作りを始めるのですが、その時点でかなりパフォーマンスが落ちているので表計算の縦横の数字が合わず、イライラしてタバコを吸うので、これが十二指腸潰瘍と虹彩炎性緑内障の原因となりました。

 

表計算PIPSの勉強会で興味を持ったきっかけが、基本そそっかしい私がボーリングの点数を間違って入力して、それに気付いて訂正したところ瞬時に合計値、平均値が修正された数字になったことでした。

 

“これは!”と閃くものがあって、3時間の勉強会が終わり他の参加者が、そそくさと職場に帰って行くなか、私は研修室に残って計数部の課長に、その表計算の詳細を聞きました。

 

すると、参加者の中でたった1人、興味を持った私のことを喜んだ課長はPIPSのマニュアルと営業車運転中に聞けるカセットに入った音声マニュアルを貸し出してくれました。

 

大阪、京都、奈良と営業車で走っている最中に、そのカセットを聞くと、「これは使い方によっては作業効率を大幅にアップできるぞ」と確信しました。

 

To be continued