気の異常の次は「血」(けつ)の異常を扱います。
血=血液、ではなく血≒血液、くらいのイメージです。
漢方のセミナーでは講師の先生が「体を巡る色のついた液体」と表現されます。
この微妙な違い・混乱は、血液の名前の由来を知ると理解できます。
江戸時代が終わる頃、西洋医学が日本に入ってきました。
当時の日本の医学は、中国から輸入した医学が日本内で独自の発展を遂げたものでした。西洋医学はオランダ医学が中心だったので「蘭学」「蘭方」と呼ばれました。
では日本の伝統医学をなんと呼ぼう・・・思案の末、「漢方」と呼ぶことにしました。
そして、蘭方の医学用語には、漢方にはないものがたくさんありました。
似たような概念のものに「エイヤッ」と無理矢理当てはめたのです。
blood は「血」の概念に似ているから「血液」と名付けたと思われます。
内臓も漢方医学では解剖学が発達しておらず、五臓六腑という抽象的概念が中心でした。
そこに近いものをそれぞれ当てはめました。
liver → 「肝」の概念が近いから「肝臓」
kidney → 「腎」が近いから「腎臓」・・・等々。
実は漢方には「脳」という臓器概念がありません。
そしてココロ・情緒・感情を五臓に振り分けています。
ですから内臓とココロはリンクして語られます。
これが「心身一如」の所以です。
ココロとカラダを切り離してしまった西洋医学と大きく異なるところです。
・・・キリがないのでこの話はこの辺で。
さて、「血」の話に戻ります。
血の異常は「瘀血」と「血虚」の2つに分けられます。
いや、明確に区別できるわけではなく、オーバーラップすることが多いです。
瘀血は気の異常では気滞に相当します。
なぜか「血逆」という概念はありません。
【瘀血】
・血が滞っている、偏在してうっ滞している状態
・瘀血の症状;
✓ 月経痛、月経困難などの月経関連症状
✓ 頭痛
✓ 局所の疼痛
✓ 痔
・瘀血を疑う所見;
✓ 舌下静脈怒張
✓ 舌や唇の暗紫色化
✓ 下腹部の瘀血圧痛点(腹診)
・瘀血を解消する生薬;
✓ 牡丹皮
✓ 当帰
・瘀血を解消する漢方薬;
✓ 加味逍遥散(24)
✓ 桂枝茯苓丸(25)
✓ 当帰芍薬散(23)
✓ 桃核承気湯(61)
✓ 温経湯(106)
【血虚】
・血が量的あるいは質的に不足した状態
・症状;
✓ 顔色不良、目の下にクマ
✓ 皮膚につやがない
✓ 冷え
✓ 脱毛
✓ 爪色不良、爪が割れる
✓ 眼精疲労
・血虚を解消する生薬;
✓ 当帰
✓ 川芎
✓ 地黄
✓ 芍薬
・血虚を解消する漢方薬;
✓ 十全大補湯(48)
<参考>
・対談ー看護師のための気血水を学ぼう「血」(2026.1.14、Kampo Square)

