11月最後の日に


秋のリサイタル遠征、4回目はヴァレリー・アファナシエフの演奏を聴きに行ってきました。


午前に仕事をしてから東京へ遠征。


その前に寄り道をすることにしました。

芸術の秋🍂、と言うことで。


絵画を見てきました。 


上野の森美術館で開催中のモネ展。



リサイタルでドビュッシーを聴く予定だったので雰囲気にあう絵画鑑賞をしようかなと。


今回は彼の連作に焦点を当てた収集、展示となっていました。


良かった絵は写真撮影🙅だったので別のを1枚置いておきます。睡蓮、初期の頃の絵の様ですね。



全体を見て思ったのは反射の描写に長けた画家だなと。水面、布地に光が当たった部分の光沢、ガラスの瓶の表面。近くで見ると数センチの線なのにその集合体である絵には水の揺らぎ、輝きが見える。


この感覚は音楽と似ている。


ドビュッシーの曲はこの絵の様な感じかな。と楽しみにリサイタル会場へ向かったのですが‥。



アファナシエフ ピアノリサイタル 


TIME  第3年

@銀座 王子ホール


3年にわたってバロックから近現代の音楽を取り上げるこの企画、最終年です。

私は昨年のブラームスとシューベルトに感銘を受けたので今年も、と期待。チケットは完売とのこと。


会場につき、リリースされたばかりのベートーヴェン ハンマークラビーアと2009年のショパンプログラムのライブCDを購入。終演後サイン会があるとのことで楽しみに開演を待ちました。


ベルが鳴り、拍手の中、舞台にアファナシエフの姿が。

上下黒の装い。少し足取り重そうにピアノへ向かい、楽譜を譜面台に置くと椅子に座って弾き始める。


最初はシルヴェストロフのオーラルミュージック第1番と第2番。

私は初めて聴く曲だったので事前にYouTubeで動画を探し第1番だけは聴いていったのです。


ところが。


うーん、調子悪いのでしょうか?

それとも超スローテンポでの演奏なのでしょうか。


素人目に見ると初見!?と思うペース(過去にリサイタルで演奏しているとあったので、それは無い筈ですが)で弾いていく。楽譜を凝視し、響きをひたすら紡いていく感じ。


時々咳き込む様子もあり、今日は辛いのだろうか。

中止になるのではないかと心配になってきました‥💦


第2番までペースを変える事なく弾き続け、一礼したのち次のドビュッシーに移る。


前奏曲集から「帆」「響きと香りが夕べの大気を漂う」「雲の上の足跡」の3曲。

右手がひらひらと宙を舞っては鍵盤に戻り旋律を打っていく、アファナシエフの演奏スタイルが垣間見える。時折自身のこめかみの辺りを触れては何か思案している様。


音探し、響き探しの旅をしている‥。

そんな風に見えました。


弾き終え、軽く会釈するとゆっくりと袖に戻っていく。

戸が閉まる時、隙間から頭を横に張る様子が見えました。やはり体調、思わしくないのかな。


数日前、マネジネント会社の方が上げていたエッセイの内容が気になっていました。もしかしたら日本に来るのはこれで最後になるかもと。

76歳と高齢であることは確かだけど、昨年の迫力ある演奏を聴いているだけに受け入れがたい。


老いは避けられないのでしょうか‥。


リサイタル 後半 




ピアノはスタインウェイでした。


さて後半。

再び楽譜を携えアファナシエフ登場。


1曲目はベルガマスク組曲から「月の光」。


アルバム『テスタメント』に収載されている演奏もそうですが、やはり少しテンポは遅め。これはアファナシエフ節、なのでしょう。

再び宙でひらひらと舞い、鍵盤を撫でる手が音楽を奏でていく。


淡々と次の「デルフォイの舞姫」、そして

「沈める寺」へ。


前半に感じた緊張感は無くなっていました。


かつて海に沈んだ寺院の鐘が鳴る。

この重厚かつ神秘的な音の響き!

一気に気持ちを持っていかれました‥。


ラストはプロコフィエフ 風刺 Op.17。

本曲も『テスタメント』に収録されている曲集。


これまでから一転、荒々しい響き。

不協和音だったり変拍子だったり。


鍵盤上の手の動きも激しい。

ここまで体力を温存していたのかもしれないな💦


RPGで言えばラスボスが出てきそうな雰囲気漂う第5曲まで一気に弾き切る。


うーん、凄かった!


アンコール 


カーテンコールの中、舞台に戻ってくるとすぐに椅子に座り演奏を始めました。楽譜の持参はありません。


弾いたのはショパン マズルカOp.63-2と68-2の2曲を続けて。


アファナシエフの演奏を初めて聴くと独特のテンポと歌い回しにこれはショパンなのか、と戸惑う(ブラームスもビックリしたけど😅)。


でも気になってしまい、また聴きたくなるのです。


翌日は横浜でオールショパンプログラムが予定されていたのですが、2日続けて仕事を切り上げての遠征は体力的にも厳しかったのでここでマズルカが聴けてよかったと思いました。


🔸🔸🔸

終演後のサイン会。


昨年はブラームスOp.118の楽譜に戴いたのですが、今回は購入したライブアルバム(ショパン)にお願いしました。


素晴らしいドビュッシーの演奏をありがとうございました、とお礼を伝えると、満面の笑顔でどうもありがとう、と返してくださりました。




購入したCDには今練習中のワルツ3番、3年前に練習したポロネーズ1番が収録されているのです🥰

後で堪能しよっと!!


また来てくださることを祈って✨