加茂隆康弁護士の著書レポート  落とし所を知れ | 加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』について考察するブログ
加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第6章 落とし所を知れ、あるいは弁護の品格
因果な商売/退くときは退く/落とし所を知れ/類は友を呼ぶ/損保側弁護士の報酬のからくり
司法研修所を出てホームレス/初回の提示580万円、二回目ゼロ回答
K弁護士からの丁重な謝罪/重傷事故では訴訟まで視野に入れる
立証責任五分五分論/闘わずして勝つ


『落とし所を知れ』

前章で加茂隆康弁護士は、徹底的に出させる訴訟戦略についてお話ししました。
いくら徹底的に出させるといっても、ゴリ押しはできません。
被害者に過失があったり、既往症があったりした場合には、それなりの譲歩は必要です。

被害者の中には、弁護士の説得にも一切耳を貸さず、強硬に自説を並べたて、和解折衝の席で裁判官にまで喰ってかかる人がいます。これは感心しません。

夜、歩道道の区別のない道を歩いていたとき、後ろからバイクにはねられ死亡した方がいます。
この方は七〇歳を超えた高齢で、当時、酒が入っていました。歩行がふらつき、道路の端ではなく、
車道にはみ出していた疑いが濃厚です。

警察の実況見分調書の「現場見取図」から、そう読めます。
どう考えても、被害者には一〇%以上の過失があるケースでした。
被告共済側は三〇%の過失相殺を主張しています。

残された遺族である二人の息子さんのうち、ご長男は過失相殺されることをすぐ了解されましたが、ご次男は頑として譲りません。あくまでも〇%対一〇〇%を主張します。

三回の和解を試みましたが、だめです。
四回目に裁判官が直接、本人に話しました。

加茂隆康弁護士とご長男とで、いま和解しないと判決では、被害者の過失をもっと大きく認定されかねないことを説明します。その結果、「加害者が出頭し、自分たちの前で謝罪してくれるのなら、一〇%の過失を認めてもよい」というところまで、ようやく歩み寄ってくれました。

被告側弁護士も折れ、次回に、加害者本人を東京地裁に呼んで謝罪させることに、尽力してくれました。

いくら加害者に対する恨みつらみがあったとしても、賠償金については、落とし所があることを知っていただきたいと思います。