加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』
第四章 きちんと出させるには「出るとこへ出る」
力の差を知る/戦略の差/圧倒的な経済力の差/弁護士のみつけ方
専門外の弁護士/なぜ交通事故弁護士は少ないか/損保側弁護士と地方の問題
地方の被害者の疑心暗鬼/敵に塩を送る/内部規定で払わない弁護士費用
弁護士をつけると損保の態度が変わる/出るとこへ出る/交通事故紛争処理センター
日弁連交通事故相談センター/慰謝料を弁護士会基準より値引きしがちな日弁連の矛盾
紛セと日弁連とどっちが得か/民事調停はご近所のご隠居的
やみくもに調停に申し立てる損保側弁護士
『なぜ交通事故弁護士は少ないか』
交通事故は日常頻繁に起きているので、交通事案は弁護士なら誰でもそつなくこなせるはずだ、と被害者の多くは考えます。
実際はちがいます。
交通事故は知的財産権などと同様、特殊な法律分野です。
弁護士になる前の研修期間(司法試験に合格したあと研鑽する一年間の司法修習期間)でも、たまたま実務修習先でこの分野の事件を扱えば別ですが、そうでない限り勉強しません。
もっと基本的な実務で学習しなければならないことが修習生には山積しているため、とても特殊分野にまでは手が回らないのです。
それに加えて、交通事案には、自動車保険という大きな壁があります。
保険の仕組み、損保のスタンス、思惑、内情といったことは、損保側の代理人を長年務めた経験がないと
(つまり損保の内側に入りこまないと)、一朝一夕に分かるものではありません。
そういうことは出版物に書かれているわけではありませんので、どんなに沢山の本を読んで学習しようとしても、内部事情にまでは理解が及ばないのです。
これが数ある法律事件の中でも、交通事故を特殊化している原因です。
交通事案を専門とする弁護士が少ないのも、単に法律だけにとどまらず、自動車保険の仕組み、さらには損保の内部事情にまで精通しなければならないということが背景にあるからです。