加茂隆康弁護士の著書レポート  入通院(傷害)慰謝料の正当な基準 2 | 加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』について考察するブログ
加茂隆康弁護士の著書『自動車保険金は出ないのがフツー』

第三章 どこまでは出て、どこを越えると出ないのか
むち打ちは一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月が目安/同意書にもとづく医療調査/
主婦の休業損害は一日一万円弱が当然/入通院(傷害)慰謝料の正当な基準
自賠責保険金の限度額を定番とする損保の悪辣さ/示談後の来訪/はめられたー
評価損も出ないのがフツー/物として扱われるペット/出る保険金もある
保険金が払われない場合をチェック


『入通院(傷害)慰謝料の正当な基準2』

自賠責の基準とは、治療一日当たり4200円という決まりです。ですから、治療期間が30日であれば、ごく単純なケースでは

4200円×30日=12万6000円

となります。
加害者側の任意保険会社は、どうして弁護士会基準で提案しないのか。
それはひとえに、保険金を払いたくないからです。
任意保険会社は、「一括払い」といいまして、自賠責保険から支給されるべき分を一括して窓口となります。任意保険から支払った賠償金は、あとで自賠責保険から回収します。
回収するとき、自賠責では基準が決まっているため、一日4200円の割合でしか回収できません。
つまり、任意保険会社は、将来自賠責保険からいくら回収できるかを計算に入れ、できる限り自社の懐が痛まないようにするため、回収できる金額の範囲内で被害者に提示しようとするのです。

うまくいけば、事情を知らない被害者は自分たちの計略にはまり、示談に応じてくれます。
バカな被害者なら騙されてくれるだろう。そういう思惑があるからです。

ある女性被害者が治療継続中のとき、将来の慰謝料はどのように算定してくれるのかと訊いたところ、相手の損保はやはり一日当たり4200円とこたえました。

「それは自賠責の基準の額でしょ?弁護士会の基準はもっと高いと、ものの本には書いてありましたが?」

こうさし向けると、相手の担当者は言いました。

「じゃ、その点は示談のときに考えましょう」

数か月後、示談交渉の段階にきて、同じ担当者から郵送された「損害賠償額計算書」を見て、
彼女は目を疑ったといいます。入通院慰謝料をもっと高く算定してくれたのかと思いきや、一日当たり4200円ではなく、それより低い1500円で計算してあったのです。
彼女は、かなり聡明な女性でしたから、激怒したことは言うまでもありません。
彼女がクレームの電話を入れても、担当者は「それしか出せません」の一点張りで、とうとう居留守を使って、電話にも出なくなったといいます。