精神科医が必要な音楽家たち | IAMIミュージックアカデミー

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MICHIKO DATE ILIEVA
目醒め、気づき、変化の日々を綴っています。
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「音楽が自分の人生で最も重要なことになってはいけないよ。」

 

これはイリヤンが生徒さんたちによく言っていることです。

 

どれだけ音楽に情熱を注いでいたとしても、演奏すること、歌うことは、私たちの人生の一部に過ぎません。

 

音楽家としての自分以外にも、母として、娘として、妻として、社会人として、人生には背負っているものが多くあります。

 

音楽家として成長していきたいと思うのであれば、人生を全体で捉えて、考え方、心との向き合い方までを学んでいかなければいけません。

 

体の使い方と同じくらいに、思考の使い方も大事だということです。

 

人生にはいくつものマイルストーンが存在しています。

 

マイルストーンとは、人生でクリアしていかなければいけない課題のようなものです。

 

それは比較的簡単にクリアできる小さなものから、クリアできなければしばらくそこに留め置かれるような大きなものまであります。

 

音楽を学んでいく過程でも、このマイルストーンは現れます。

 

一見すると、ただ伸び悩んでいる状態にも思えます。

 

練習方法を見直したり、試行錯誤して前進を試みるも、どうも抜け切れない。

 

そういうときは、音楽以外の部分が深く影響していることがあります。

 

中でも、恐れや不安が自分の成長を止めている、というのはよくあることです。

 

ではその原因はどこから来ているのか?

 

親との関係かもしれません。

 

学校で受けてきた教育の影響かもしれません。

 

人間関係が影響してるかもしれません。

 

一人の人間の中には、知らず知らずのうちに親から引き継がれた思想や感情、学校で刷り込まれた価値観や概念など、多くの影響が積み重なって存在しています。

 

「自分が評価されなかったとき」

「自分が理解されなかったとき」

「自分が敬意のない扱いをされたとき」

 

そんな出来事をきっかけに、不安や恐れ、無価値観、罪悪感などが呼び起こされて、心身にブロックが掛かることはよくあることです。

 

現代人の多くは多かれ少なかれ、心身にブロックを抱えて生きています。

 

心身のブロックが強力に作用すると、まずは体が自然に機能することができなくなります。

 

それだけでなく、思考を停止させ、感性を鈍らせることにもなります。

 

そんな状態で、自由に音楽を表現できるわけがないですよね。

 

音楽を感じたり、心地良く演奏したりできるわけもありません。

 

 

つまり私たちは、音楽を学ぶことと、この心身のブロックを解錠していくことの両方に取り組んでいかなければならないということです。

 

 

とは言っても、恐れや不安と真っ向から立ち向かって、それを取り去ろうとすることは無理があります。得策ではありません。

 

まず私たちが心を守る上でできることは、「人から理解されたい」という期待を手放すことです。

 

「人から理解されたい」という思いがあると、理解されなかったときの反応として、恐れや不安が出てくるからです。

 

自分の周りにひとりでも良いので、自分のことを本当に思って、理解しようとしてくれる人がいれば、それで良しです。

 

多くの人に理解される必要はありません。

 

そして、技術を磨いていくことです。

 

技術とは、自分を取り囲んでいる制限を取り払って、自分の内側からエネルギーを解放させるためのものです。

 

技術は、上手く演奏したり、速く演奏したりするためのものではありません。

 

あくまで自分を心地良く解放するためのものです。

 

「考え過ぎずに思いっきりやりなさい。間違ってもいいから。どんな音が出てもいいから。」

 

私がいつもレッスンで言うことです。

 

これは言い換えると、「リスクをとりなさい。」ということでもあります。

 

不安や恐れが強いと、リスクをとることができません。

 

そこで躊躇し続けると、不安や恐れが助長されて、さらなる悪循環を生みます。

 

いきなり大きなリスクをとる必要はありませんが、まずは思い切りやる、ということに少しずつ慣れていくことです。

 

中途半端に音を出したり、慎重になり過ぎたりしないことです。

 

リスクをとれるようになると、自分の中から自信が生まれます。

 

そして、不安や恐れが傍に追いやられていきます。

 

「思い切りやること」なしには、不安や恐れは拭えないということです。

 

もちろん、思い切りやるにはそのための方法がありますので、闇雲に思い切りやれば良いというわけではありません。

 


『音楽家には2種類の精神科医が必要だ。ひとつは一般的な医師。もうひとつは音楽と音楽家のことを理解している医師だ。』

 

これもイリヤンが言っていたことです。

 

私たちはそれほどに、複雑な世の中を生きているということです。

 

人から人へと受け継がれてきた伝統文化であるクラシック音楽を正しく継承していきたいという思いと、現代社会におけるビジネスとしてのクラシック音楽のあり方との間で葛藤することや、疲弊することはよくあることです。

 

度々顔を出す不安や恐れにも対処していかなければいけません。

 

ひとりで抱えきれないくらいの思いが押し寄せてくることはよくあります。

 

そんなとき、心が楽になる考え方を指導してくれる人がいたらどれだけありがたいことでしょう。

 

今日ここまで書いてきたことは、実際にイリヤンが私の生徒さんに話していたことの一部でもあります。

 

イリヤンはいつも生徒さんの、音楽面だけでなく、精神面のサポートもしています。

 

その人が全体で変わっていかなければ、音楽が変わっていくことにはならないからです。

 

『日本人音楽家が、上部の自信ではなく、内側からの確かで静かな自信を取り戻すことができるように指導していくことが僕の夢だ。』

 

これはいつもイリヤンが言っていることです。

 

IAMIアカデミーでは今後、「考え方や心との向き合い方」についてのクラスもオープンしたいと考えています。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます😊