入口に倒れている犯人の一人を見た署長は
『これも君たちが?』
『はい。』
『気絶しているだけですか。 顔を拝見・・・・。
 コイツ〇〇組の奴では無いか! 真一くん悪が後2人ほど警官を入れたいのだが良いかな?』
『良いですけど・・・。』
『心配しなくても、真一くんには何もさせないよ。
 そんな事をしたらアイツに怒られてしまう』
『アイツ?』
『あぁ、真一くんが助けた友美さんの父親とは古い友人なんだよ。
 それで、捕まっている様なら釈放して欲しい。あの少年は犯人では無く助けに行っただけだと
 連絡があったのだけど出動したはずの警官が帰らず、
 特殊班要請があったから見に来てみたら、
 そちらの郷子さんと何やら話していたから後方で聞かせて頂いて居たのです。
 まぁ君が捕まりそうになったら助けに出るつもりでしたが・・・。』
『早く出てくれたら良かったですけど・・・・。』
『君が私の顔を知らない以上、不用意に私が近づいたら、真一くんARに命令して攻撃したでしょう』

『でも、話が拗れて俺が麻友に攻撃命令を出すとは思わなかったのですか?』
『私も警官になって長いから、顔を見れば大体の精神状態が分かります。
 あの状態なら大丈夫だと思ったし、いよいよヤバくなったら、
 私たち警察が引けば済む話しだと思ったので傍観していました。
 でも、この話はここに居る人だけにしてくださいね。
 私も色々立場って言う物がありますから・・・・。じゃあ、警官を2人入れます』
 と言って署長は二人の警官を連れてきて、気絶している犯人を運び出した。そして、
『名前は真一くんで良いのかな?』
『はい、須藤真一です。』
『では、須藤くん、犯人はこれだけって事は無いだろうから、残りは?』
『奥に居ます。』
『では、行きましょうか』
奥に行きパーテーションで仕切られた奥の部屋で大人たち3人が見た光景は予想を
遥かに超えていた。
そこには、ARの残骸に銃撃の後、そして手足から血を出しながら呻いている者から
気を失っている者、そして一番奥に居る犯人は、失禁して呆然としていた。
そして最初に口を開いたの善太郎だった。
『真一くん・・・・。確かにこれを見た友美さんなら、あの電話の態度も分かるぞ』
署長は、
『これは・・・・。一応聞いておくが君が持っているARは違法でな無いのですよね?』
真一は【特殊AR使用許可】を署長に見せた。
『なるほど・・・・。
 確かにこのカードを所持しているのなら先ほどの郷子さんの言う事も納得出来るし、
 この状況も分かりますが、それなら尚の事もっとスマートな解決方があったのでは無いですか?』

『あったと思います。でも、あの時の俺は冷静ではいられなかった。
 送りつけられた写真を見た時から、まともに考えたれなかった・・・・。
 それでも、ギリギリ理性が働いて居たと思われるけど、
 実際に見た友美の姿は写真より酷くて、その瞬間俺の中で何かが外れた様でした。
 後から麻友にそれはキレた状態だと教えてもらうまで自分でも分からないくらいでしたから・・・。』
『そうですか・・・。』
『で、改めてこの状況を見てどう思いますか?』
『少しやりすぎかもとは思いますが、友美が受けた苦痛からすれば・・・』
と、言った瞬間それまで黙っていた郷子が真一の頬を平手打ちした。
『何考えているのよ! 一歩も違えれば真一くん殺人犯よ!
 それも、友達の前でそんな事すれば、その友達は一生消えない深い傷が残るの。
 自分のせいで友達を殺人犯にしてしまったってね。
 それに、真一くんが大切に思っている麻友さんを人を殺したARにしたいの?』
真一はその場にへたり込んでしまった。すると署長が
『やっと中学生らしい顔つきに戻りましたね。
 では、犯人とは言え治療しないとイケナイから救急車を要請するけど良いね?』
『・・・・・はい』
真一は気の抜けた返事をしか出来なかった。
そして現場から犯人が運び出されても真一は、その場から動こうとしなかった。
それを見ていた善太郎は
『真一くんが友達の為にした事を間違っていないし、
 警察に連絡したらと言われて居るのだから麻友くんが居る自分がと言う気持ちも分かる。
 あまり褒められた事では無いが間違ったとも言えない。
 だからその事についてはココに居る人たちは誰も真一くんを攻めたりはしとらんのは分かるじゃろ。』
真一は頷いた。

『でも、今回はやりすぎじゃあ。
 確かに友美くんを助けたいと言う気持ちは有ったじゃろうけど、
 友達を傷つけた犯人に復讐する気持ちもあったじゃろ?
 それは、ダメじゃ。 それでは、今回の犯人と一緒になってしまう。
 本当に人を助けたいのであれば、いつも冷静な判断が出来る様にならなくては。
 特に真一くんの場合、麻友くんと言うARが居る以上他の人たち以上に、
 その事を肝に銘じて置かなくてはダメだぞ。麻友くんの事大切なんじゃろ?』
真一はもう一度頷いた。
『麻友くんは真一くんが命令すれば何でもする。
 そして、真一くんの事を自分の命を掛けて守ってくれるじゃろ、
 でもな、その麻友くんは誰が守ってやるのじゃ? 真一くんしか居ないじゃろ?
 だからその事もちゃんと考えるのじゃぞ。男が泣くもんじゃない』
と言って善太郎は真一の頭を撫でた。
そして、郷子は
『ゴメンネ、痛かったでしょ』
と言って自分が平手打ちした所を摩った。
『おじいちゃんに全部言われちゃったけど、
 私も女性だからお友達の気持ちはちょっとは分かる。
 そのお友達も真一くんが助けに来てくれて嬉しかったと思うよ。
 男達に囲まれですごく怖い思いをしたと思う。
 そこに真一くんが来たのだから真一くんの事ヒーローと思ったかも知れない。
 でも、その後真一くんがもっと怖い思いをさせてはダメでしょ?
 ヒーローはいつも格好良く居ないとね』
2人の話を聞いて事の重大さ気づいた真一は
『俺は逮捕されるのでしょうか? 麻友とは一緒に居られないのでしょうか?』
と呟いた。
すると署長がカードを返しながら
『真一くん私は最初に言ったでしょ? 君を釈放する為に来たと。
 だから逮捕なんてしないよ。
 それに、このカードを持っている以上ARがした事させた事については、
 人を殺さない限り私たちは何も言えないのですよ。
 だからこそ、お二人が言われた事をちゃんと守る事が大切なのです。
 でも、逮捕はしませんが事情を聞かないといけないので
 警察署の方には来てもらう事になりますが良いですか?』

真一は頷いた。そして善太郎が
『麻友くんはワシが預かっておくよ。麻友くんも直さないといけないからな』
『よろしくお願いします。』
『任せておけ、バッチリ直してやるから』
『麻友・・・。』
『真一さま、何も言わなくて良いです。分かっています。
 私は全て見ていましたし、これからも見ていきます。』
麻友を善太郎に預けた真一は、署長の車で警察署に行き詳しい事情を話して帰る頃には
朝になっていた。
その日は学校を休む事にした真一は、昨日寝てない事もあり警察署から帰ったすぐにベッドに入った。