あたりから煙が消えるとそこには、真一が立っていて麻友が浮かんでいた。
そして麻友の手には弾丸が持たれていた。
『だからさ、麻友に効かない物が俺に効くわけないじゃないですか?
 麻友は俺のARですよ。多分自分を犠牲にしても守ってくれます。』
男たちはその場で腰を抜かしていた。

『な、何でお前は一歩も動いて居ないのだ? 万が一にも当たるとは思わなかったのか?』
『思いません。麻友に出来ない事は、世界中誰も出来ないのだから、その時は諦めます。』
『では、反撃開始しますね。あなた方が先に拳銃を撃って来たので、
 俺には正当防衛が適用されますから。その前に、友美を誘拐した実行犯は誰ですか?』
当然誰も反応しなかったが、麻友が
『あの方とあの方ですね。真一さまの質問に心拍と発汗そして体温が反応しましたから』
『そうか。麻友その弾を死なない程度に返してあげて』
と言うと麻友は、2人の手足に一発づつ計8発を指で弾いて撃ち込んだ。
友美は悲鳴をあげて、
『真一さん止めて!』
『何で? 友美の苦痛はこんなもんじゃないだろう。友美が望むなら・・・・。』
『本当に止めて! 私は大丈夫ですから、見た目以上に酷い事はされていませんから。』
『まぁ、友美が良いなら別に良いけど』
 真一の顔に感情と言う物は消え失せていた。
『でも、そこの男は許さない。』
 真一は腰を抜かしているボスらしき男を指さした。そして、
『麻友、残りのゴミは邪魔だから、適当に戦意喪失させておいて』
『はい』
5~6人居た誘拐犯の仲間は、一瞬で床に倒れて居た。真一はボスらしき男の方へ歩き出した。
すると追い詰められた男は、ナイフを取り出して友美に近づこうとしたが、
それより早く麻友が持っていた拳銃の弾でナイフを弾いた。

『まだ、懲りて無いんだね。俺も刑務所には入りたくないし何より麻友と離れたく無いから、
 命だけは取らないでおこうと決めていたけど、もうイイや・・・・。
 麻友2人で逃亡生活でもするか?』
『真一さまの行く所でしたらどこにでも付いて行きます。
 捕まりそうになったら、私が守ります。』
『だって、そこのゴミ、覚悟は出来た? 麻友の手を汚すのは嫌だから、俺がするね』
と言って落ちていた拳銃を取った。
すると友美が
『ねぇ、本当に止めて、私は本当に大丈夫ですから! 』
『友美、目を瞑っていて、さすがに友達に見られるのは嫌だから』
『ゴミ。俺の友達を傷つけた罪は命で償って貰うね』
真一が引き金に手を掛け力を込めようとした瞬間だった。
『真一さま、やはりダメです。』
と言って麻友が真一の手から拳銃を奪い取った。
『麻友、何するんだ? 返してくれ。俺はコイツを許さいない、
 大切な友達を身体的にも精神的にも傷つけた罪コイツの命をもってしても軽すぎる』
『それでもダメです。真一さまの命令なら私何でも致しますが、これだけは譲れません』
『どうしてだ?』
『それは、真一さまの精神状態が通常の状態では無いからです』
『俺は、普通だよ』
『じゃあどうして、友美さんの縄を解いて上げないのです。
 いつもの真一さんなら、直ぐにでも友美さんの縄を解いて居るのでは無いですか?』
『それは・・・・。このゴミを片付けないと危ないかなと』
『それこそ、私に【全員倒せ】とでも命令して頂ければすぐに解決する問題で無いですか。
 真一さまが私に言っていたではありませんか、【怒りを通り越して冷静になった】って、
 その感情の名前を教えてあげます。それは、一般的に【キレた】と言う感情です。
 でも、辛うじて理性を保っていましたが、ここに来て実際に友美さまを見て
 その理性も完全にどこかに行き犯人を倒す事だけになったのでは無いですか?』
『じゃあ、こんな事したコイツを許せと言うのか?』
『それを決めるのは、真一さまでは無いのではありませんか?
 それを決めるのは友美さまや友美さまのご両親、そして法律と言うものでは?』
『じゃあ麻友は、友達を傷つけられて怒りを覚えている俺が間違っていると言うのか?』
『それは間違っていません。だから、今まで真一さまのご命令通りしたではありませんか。
 私もARですがちゃんと感情はあります。この人たちに怒りを覚えていますが、
 さすがにやりすぎではありませんか?』
『じゃあ、どうしろと言うんだ』
『わかりました。今、真一さまが私のお願いを聞いてくれて鉾を収めてくれた上で、
 冷静に考えてもどうしても許せないと言うのであれば、
 この人が刑務所だろうがどこに居ようが、私が責任もって真一さまの目の前に連れてきます。
 その時は、この人をどうしようが、もう私は何も言いません。
 ご命令とあらば私がこの人の命を頂きます。それでどうですか?』

麻友にここまで言われたら何も言えなくなった真一は
『麻友がそこまで言うのなら、解った。鉾を収めるよ。でも、約束は忘れるなよ』
『ありがとうございます。勿論です。私はARですから百年でも千年でも覚えています。』
『でも、そいつが何をするか分からないから、気絶させておけ』
『はい』
と言うと男の首元を叩いて気絶させた。
真一は、友美の縄を解くと自分が着ていた服を友美に着せた。
『ありがとうございます』
『助けるのが遅くなった・・・・。ゴメン』
『いいえ、感謝しています。でも、真一くんが早まらな無くて良かった。
 麻友さんにも感謝しなくてはね』
『いいえ、私は真一さまにとって一番良い結果を生むようにしただけです。』
『それだけでは無いわ。助けに来てくれた事にも感謝しています』
『私は真一さまのARですから、真一さまの行く所何処にでも行きます』
『そうですか。でもお礼を言わせて、ありがとうございます』
 そして、真一の顔を見て
『麻友さんのお陰で落ち着きましたね。本当に助けに来てくれてありがとうございます。
 感謝の言葉を言っても言い切れません。』
『友美。強がらなくて良いだぞ。怖かっただろう・・・・。』
『いいえ、私は大丈夫ですわ』
 友美は言葉とは裏腹に目から溢れるものがあった
『あれ、どうして涙が出るのかな? 大丈夫なのに・・・・。』
『友美。ここには俺と麻友と友美しか居ない。泣いても良いのだ。
 泣ける時に泣いとけ、後が辛くなるぞ』
『うん、うん・・・・・・。 私助かったですよね・・・・・。
 真一さん怖かったですーーーーー』
友美は真一の胸で泣いた。
真一は友美が泣ける為に胸を貸してやる事くらいしか思いつかなかった。
しばらくして友美は泣き止んで
『真一さん、ありがとうございました。でも、この事は・・・・。』
『わかってるよ』
『じゃあ帰りますか』
真一達が帰ろうとした時、麻友が
『真一さま、外にかなりの人数の人が居ます。』
『こいつらの仲間か?』
『ちょっと待って下さい・・・・・。 違います。警察ですね』
『じゃあちょうど良かったではないか? こいつらを引き渡せるから』
『そうですわね、真一さん行きましょ』
真一たちが外に出ようとした時だった。外から何かが投げ込まれた。