『疑問が2つ有るのですが、1つはなぜ、ディートがいつも付いているのに友美が? 
 もう1つはなぜ、警察に届けなかったのですか?』
『どうやら、友美を誘拐した奴はARを緊急停止させる端末を持っていたらしい』
『以前、友美さんから聞いたのですがディートは自作ですよね?
 なら既製品に付いている停止装置は使えないのでは?』
『自作でも緊急用に停止装置は付いているのだ。でも、停止させる信号の種類の情報を、
 どこから入手したかは不明だがな・・・・。
 それを知っているのは私たち夫婦と友美だけなのだが・・・・。』
『そうですか・・・・。』
『そして、警察に連絡しなかったのは、ディートのそばに、こんな物が置かれて居たからだ。』
 照悟が見せてくれたのは、一枚の紙切れだった。
 そこには、【娘は、預かりました。警察等に連絡すれば・・・・。
 分かりますねよ。また、後で連絡する。】と書かれていた。
『で、連絡はありましたか?』
『はい。1億用意しろと・・・。』
『用意したのですか?』
『いや、すぐにはそれだけの大金は・・・。』
『失礼ですが、こんな家に住んでいる人なら、絶対に出来ない金額では無いのでは?』
『確かに、絶対に用意出来ない金額では無いのですが、急に1億となると・・・・。』
『そうですか。友美さんより、お金ですか。』
『決してそう言う事では無いのだけど、1億もの金を急に動かすと会社が・・・・ね。
 私たちが一文無しになるのは良いのだけど、社員の事は考えると・・・・。』
『そうですか・・・・。』
真一も会社の事までは分からないし、確かに会社の長となると、
こんな時まで社員の事を考えなくてはならないとは、
難しい物があるなどと考えていると突然、麻友が外の異変に気づいた。

『外にARが居ます。』
『人数は?』
『一体ですね』
『何をしようとしているかと、危険な事で無い場合は、そのARの後をつけてくれ』
『わかりました』
 真一がレシーバー麻友と話していると照悟が質問してきた。
『今、誰と話していたんだ?』
『ARとです』
『端末らしき物は持って居なかったみたいだが?』
『端末は持って来ていますが、これは別の方法で話して居ます。』
『そのARはどこに居るんだ?』
『不明ARがこの家に何かしようとしているみたいなので、見に言っています。』
『なんだと!』
照悟は立ち上がって玄関に行こうとしたので真一は止めた。
『ちょっと待って下さい。
 今、俺のARが見張らせて居るので不用意に近づかないでください。
 結果が分かったらお教えしますので少しお待ち頂けますか?』
『あぁ』
照悟と話していると麻友から連絡が来た。
『真一さま、あのARは家のポストに無いか入れて行きました』
『危険物か?』
『多分、違うと思います。写真だと思います。私はこのままARを追います』
『分かった。麻友なら大丈夫だと思うけど気をつけろよ』
『はい。』
麻友との通信が終わると真一は照悟にポストに投函されている事を言おうとした時、家の電話が鳴った。

照悟が電話に出ると、見る見る顔色が変わった。
受け答えしている内容からすると、どうも真一が来ているを知っているし、
照悟が呼び出した事も知っている様だった。
すると麻友から連絡が入って盗聴器は電話に仕掛けられている様だった。
犯人は真一に代わる様に言った様で照悟が受話器を渡して来た。
真一は盗聴器を逆手に取って麻友に会話を記録する様に言ってから電話に出た。
『もしもし、電話代わりました』
『君が真一くんか?』
『はい』
『今の状況は理解しているか?』
『状況と言われましても、同級生のお父さんに呼び出されたかと思うと
 急に娘の今日の様子とか、一緒に帰らなかったのか?
 とか聞かれて居ると電話に出てくれと言われたので、今貴方と話して居ます』
『で、君は何と答えたのだ?』
『帰るまでは何も無かったと、そして今日は俺が用事があったので一緒には帰っていないと伝えました。』
『そうか。君は、何も考えず、聞かず、すぐ自分の家に帰りなさい』
『はぁ、解りました』
『父親に代われ』
真一は、照悟に電話を代わった。少し話すと電話を切った照悟は急いでポストに向かった。
そしてポストに入っていた写真には、制服を破られ少し肌が露出した友美が写っていた。
真一は見てはイケナイと思いすぐに目を外らせたが、
自分の中で何か外れてはイケナイ物が外れた様で怒りを通り越して逆に冷静になった。
写真を見た雅美はそのまま気絶し、照悟は写真を握り潰した。
犯人から帰れと言われた以上、ここに居ると、もしもの事があるので帰る事にした。
『犯人に帰れと言われた以上ここに居ると、監視されている時に困るので帰ります。』
『そうか・・・・。』
『お力になれずもう訳ありませんでした。でも、早まった決断はしないでくださいね。』
『あぁ』
照悟は気絶した雅美をソファーに寝しながら答えた。そしてディートに
『真一くんを見送ってやってくれ』
『かしこまわりました』
真一は、ディートに連れられて玄関まで行くと
『ディート、友美の両親には、ああ言ったが俺は俺でどうにかして友美を助け出してみる。
 だから、お前は、あの人たちが早まった事をしないかだけ気をつけてくれ。
 身代金を払う事になって無事に友美が帰って来たら良いけど、それは・・・・。
 だから、俺がやってみる。もし、夜までに動きが無かったら、家の電話を使わずに、
 どうにかして外の連絡手段で警察でも然るべき所に連絡してくれ。家の電話は使うなよ。
 盗聴されているから』
『解かりました。真一さまもお気つけになってくだい。
 そして、友美お嬢さんの事よろしくお願いします。』
真一は友美の家を出ると適当に歩きながら麻友に連絡を取ってみた。
『麻友、今どこに居るんだ?』
『あのARが入った倉庫らしき所を監視しています』
『そうか。今からそっちに行くから友美の家から、そこまでの道案内をしてくれ』
『それは良いのですが、真一さまが危険では無いのですか?』
『確かに危険かも知れないけど、麻友が守ってくれるのだろ?
 それに、俺は犯人を許せない・・・・。
 麻友、俺、精神を病んで居るのか解らないけど犯人が送ってきた友美の写真を見みた時、
 怒りを通り越して逆に冷静になってしまった・・・・』
『真一さま・・・・。真一さまは、どこも悪くありませんよ。友美さんを救出出来た時に、
 怒りを通り越した感情の呼び名を知る事になると思います。』
『そうか、わかった。では案内頼む』
『はい、解かりました。』