真一が夕方、家でネットゲームをしている時に電話が掛かってきた。
『真一さま、お電話が掛かっていますがどう致しましょう?』
『誰から?』
『知らない番号ですね』
真一の電話番号を知っているのは、遥香たち5人と善太郎と優作だけだから、
知らない番号から掛かってくる事は無いはずなので真一は麻友に出て貰う事にした。
『麻友、出てみてくれ』
『はい』
『誰から?』
『友美さまの父親と言っていますが』
『え! どうして友美の父親が俺の所に電話を掛けてくるんだ?』
『それは分かりませんが、すごく焦っているご様子です。』
『そうか。じゃあ俺が出るから回してくれ』
『はい』
 真一はレシーバーを掛けた。
『もしもし、お電話変わりました。』
『真一くんか?』
『はい、俺が真一です』
『私は友美の父で西園寺照悟と言う者です。ちょっとお話したい事がありますので、
 私の自宅まで御足労願えないでしょうか?』
『はぁ、それは良いのですがお話の内容は?』
『電話では話せる様な内容ではないので・・・・』
『分かりました。では伺わせて頂きます。』
 真一は電話を切った後、麻友に友美の自宅の場所を検索させた。

『真一さま、友美さまのご自宅の場所が判りました』
『そうか。じゃあ行くか。麻友何があるか判らないから、ステルスモードでついて来てくれ。
 そして俺との会話は、このレシーバーを通して話してくれ』
『解りました。ステルスモード起動します』
真一は麻友に道順を聞きながら友美の家に着いた。
真一には友美の父親から電話と言う事で一つだけ思い当たるフシがあった。
例の車に関係あるのではないかと・・・。
そこで真一は麻友に言って友美の自宅付近をスキャンして貰うことにした。
『麻友、ここを中心に半径1km以内に、
 友美の自宅を監視している物或いはカメラなどの電子機器が無いかスキャン出来るか?』
『出来ます。では、スキャニング開始します。』
 暫くすると終わったらしく
『スキャニング完了。真一さま今現在は、
 友美さまの自宅を監視している者も電子機器もありませんが、
 友美さまの自宅から不審な電波か発信されております』
『もしかして、盗聴電波か?』
『だと思いますが、電波に音声や画像は載っていませんのではっきりした事は分かりかねます』
『そうか。まぁ入ってみれば分かると思うけど、一応その電波は監視していてくれ。
 それと家の周りで不審な動きがないかも一緒に監視してくれるか?』
『解りました』
真一は、友美の家の呼び鈴を鳴らした。

すると、ディートが出迎えてくれた。
『真一さま、お待ちしていました』
『ディート、遅くなって悪かった。それにしてもお前、その傷どうしたんだ?
 友美のご機嫌でも損ねたのか?』
ディートの姿を見て嫌な予感が的中したのは分かったが、
家に盗聴器が仕掛けられている可能性がある以上迂闊な事は喋れないので、
あくまで事情を知らない同級生を装いながら、
端末に『この家盗聴器が仕掛けられている可能師がある。
喋らずにジェスチャーだけで答えて。もしかして友美に何かあったのか?』と打ち込んで
ディートに見せた。
すると、ディートは頷いた。
 真一は小声で
『麻友、今の会話は電波に載っていたか?』
『いいえ、載っていません』
真一は、今の答えで一先ず玄関周辺には盗聴器は無い事を確認するとディートに話しかけた。
『ここには、盗聴器の類は無いみたいだから話すけど、友美に何かあったのか?』
『それは・・・・。私の方からは・・・・。』
『そうか。じゃあ俺はここで待っているから、
 お前は先に友美の父親の所に言って盗聴器の事を話した後、わざとその場で音を立ててみてくれ』
『かしこまわりました』
 その間、真一は麻友と話した。
『多分、あの車が関係していると思う』
『そうですね。誘拐でしょうか?』
『うん・・・。多分その類だろう・・・・』
『車のナンバープレートの持ち主を探しましょうか?』
『そうだな。それは事情を聴いてからでも遅くは無いだろう』
『そうですね。ディートさんが戻ってきます』
するとすぐにディートが来て
『どうでしたか?』
真一は麻友に結果を聞いた。

『変化無しですね』
『そうか。じゃあ、この家から出ている電波は何なんだ?
 ディートこの家には携帯電話とかそう一般的な電波以外で何か心当たりはあるか?』
『私の知る限りでは、その様な物はございません。』
『判らない物に時間を取られている訳にはいかないだろう。ディート案内してくれるか?』
『かしこまわりました。こちらです。』
真一はディートに連れられて友美の父親が待っている部屋に通された。
そこには友美の父親らしき人と母親らしき人以外に数人居た。
『こちらが真一さんです』
『君が・・・。私は友美の父の西園寺照悟です。』
『母の雅美です』
『どうも、真一です。友美さんには色々お世話になっております』
真一は形式上の挨拶をした。
『それで、ここに呼ばれた理由を聞きたいのですが?』
『それは、ディートが君に頼めば良いと言ったので来て頂いたのです。』
『大方の予想は付いていますが、友美さんの身に何か起きたとか?』
『君の予想通り、友美は・・・・。』
照悟がそこまで言うと、雅美が泣き崩れた。
『友美―――――』
『雅美、真一くんの前だぞ。』
『お気になさらずに、心中お察しします。』
雅美は俯いてハンカチで目頭を押さえていた。真一は疑問に思う事があるので照悟に聞いてみた。