『それで、どうなんだ?』
『致命的な損傷はありませんでしたが、ここで治すのは無理です。
 メリーさんの発売元に送って直して貰う事を推奨します。』
『それは無理・・・・。私、親に何て説明したら・・・・。
 親には心配かけたくないし・・・・。』
遥香は俯いてまた泣き出した。
真一は泣いている女の子の慰め方は知らないが、自分に出来る事があるのは分かっているので
『遥香、大丈夫だ。俺が直してやる』
『真一くん本当?』
『あぁ、俺に任せて』
と言ってからある事に気づいた。
『遥香、所で何で俺に電話して来たんだ? 遥香なら友美に電話すると思ったのに』
『判らない・・・・。でも、どうしたら良いか分からなくなった時になぜか
 真一くんなら助けてくれそうな気がして・・・。』
『そうか・・・。こんな状況で不謹慎だけど嬉しいよ。
 でも、この事は友美たちにも言っておいた方が良いと思う』
遥香は友美たちに電話した。
真一は時計を見たが会社は、まだ誰か居る時間だろうと思い、メリーを会社に運ぶ事にした。

そして電話が終わった遥香に
『今から、メリーを直す為に機材が揃っている所に運ぶから』
完全に停止したARを人間が運ぶのは無理なので麻友の背中にマリーを背負わせた。

会社には着いたのだが、いつも使っている出入り口を使う訳には行かず、
真一は廃品置き場の方へ周りそこからメリーを運ぶ事にした。

会社の中に入ると一先ず、真一の部署になる予定の部屋にメリーを運び、
遥香をその部屋に居てもらって真一は会長室に向かった。

会長室に入るとまだ善太郎は居て
『どうしたのじゃ? 先ほど帰ったのではないのか?』
真一は事情を説明した。すると善太郎は
『それじゃあワシが使っているラボがあるからそこを使うと良い。
 準備が整ったら呼びに行くから部屋で待っておれ』
真一は遥香が居る部屋に戻り
『大丈夫だ、機材とかも貸してもらえるから安心して。』
と言って落ち着かせていると遥香に電話が掛かってきた。
それは友美からで、先ほどの場所に行っても遥香たちの姿が見えないから、
電話を掛けてきたみたいだ。
遥香は真一と会社に居ると言う事を伝えた。
すると友美たちは今から来ると言ったので真一は麻友に迎えに行かした。

すぐに友美たちが来て
『遥香大丈夫? でメリーは?』
友美は動かなくなったメリーを見て愕然としていた。
友美と一緒に来た静哉は
『真一、メリーはどうなんだ?』
『ここの機材を使わせて貰えるから、直せるよ。大丈夫。』
そして、将司は
『それにしても真一がこの会社でバイトしているって本当だったのだな』
善太郎が来て
『真一くん準備が出来たぞ。故障しているARはこっちの専用ベッドに移して運ぼう』
善太郎はAR専用ベッドを押してきてくれた。
真一は急いでメリーをベッドに移すとラボに運び入れた。
ラボには数人の社員の人がおり
『このARですね。私たちは何をすれば良いですか?』
準備万端で待っていてくれた。
真一は
『その人たちは?』
と聞くと善太郎は
『お手伝いの人じゃよ。真一くん一人では何かと大変じゃろ』
『ご迷惑を掛けてすみません。』
『今度は私たちが助ける番ですよ』
と言ってくれた人は昨日、会社のハッキング事件の時に手伝ってもらった社員の人だった。

真一は
『昨日の! それじゃ、みなさんよろしくおねがいします。』
外見は社員の人たちに任せて真一は内部の修理を始めた。
内部の損傷も思っていたより軽微で深刻なダメージを受けていなかったので
数点の部品を交換して、適用する様にプログラムを書き直す程度で済んだ。
そして、後で承諾を取れば良いかと思い、襲わてた時の映像データーをコピーして終了した。
外部損傷の修理も終わっていて全ての修理をするのに、2時間も掛からなかった。

真一は再起動をする時は遥香が居た方が良いだろうと思い遥香を呼びに行った。
『メリーの修理は終わったよ。でもまだ起動していない。
 起動する時は遥香が方がメリーも良いと思って呼びに来た』
『うん。』
と言いながら泣いていた。
ラボに戻った真一は社員の人に目配せをしてメリーを起動してもらった。
メリーは何の問題もなく起動した。
そして起動したメリーの第一声が
『私は大丈夫。早く逃げて!』
だった。
遥香は
『メリー大丈夫。もう大丈夫だから』
と言って泣きながら抱きついた。
それから遥香はメリーに今までの事を説明した。

真一は2人だけにしてあげようと思い社員たちと一緒にラボを出た。
そして真一は社員たちに
『今日はありがとうございまいた。』
と言って頭を下げた。
すると社員の人が
『俺たちで良かったらいつでも声を掛けてください。
 あなたの近くに居たら、私たちも色々学べる事が多々ありますから』
真一は会長室に寄り
『会長さん無理を聞いてもらってありがとうございました。』
『良いのじゃよ。それより、あのARは直ったか?
 まあ、真一くんに聞くのは愚問だったかな』
真一は、もう一度お礼を言って会長室を出てラボに寄って遥香たちと一緒に、
友美たちが待っている部屋に行った。
部屋に入ると皆心配そうな表情でこちらを見ていたが、メリーの姿を見て皆安心した表情になった。
すると突然友美が
『それにしても、許せません! 明日、先生方に報告してそれなりの対処をしてもらいます。』
と言うと静哉が
『これは、度を越えている行為だが、アイツ等の事だから、
 色々言い逃れしてくるに違いないぞ。それをどうするかだな・・・。
 下手するとまた遥香たちが襲われかねない』
すると真一は
『証拠ならあるよ。遥香やメリーには悪いけど、
 勝手に襲われた時の映像データーをコピーしておいた。』
すると遥香が
『コピーした事は良いけど、そんな事出来るの?』
『普通なら残っていないだろうけど・・・。すぐにメリーは停止したから残っていたんだ。』
すると友美は
『それを証拠に先生方に解決してもらいましょう。
 私たちが勝手に色々してはまた、繰り返しになりそうなのですし』
真一は、かなり頭に来ていた。
『先生方の方が友美に任せるとして、俺は他のアプローチでアイツ等を懲らしめてやる』
すると静哉が
『どうやってだ。まさか麻友くんを使って・・・。』
静哉が誤解している様なので
『それも考えなくな無いが、そんな事はしない。ある意味もっとキツイお仕置きかな?』
『それは?』
『ナイショ』

その日は遅かったので静哉に友美たちを送ってもらって
真一は、もう一度会長室に寄って善太郎に挨拶するついでにあるお願いをしてみる事した。

『会長さん、お願いした事がありまして、郷子さんに連絡とか取れないですか?』
『取れない事は無いが、もしかして今回の事か?』
『そうです。今回はどうにかなりましたが、また友達が襲われないとも限ら無し、
 これ以上何かあった場合、俺は、麻友に言って実力行使しそうなのです・・・・。
 それじゃ何も解決していないので、出来れば郷子さんに相談に乗って貰いたいのですが・・・。』
『そうか・・・・。確かにヤられたからやり返すでは解決にならんの・・・・。
 分かった、郷子にはワシが連絡しといてやる。
 明日、もう一度会社の方に来てくれ、郷子も呼んでおくから』
真一は善太郎に挨拶をすると会社を後にした。