無視を決め込んでいた真一も我慢の限界が来て叫んだ。
『やめろ』
『壊れるからか? そうかそうかお前が作ったAR何かこの程度で壊れるもんな』
最初は麻友も無視をしてされるがままだったが、
真一に対する最後の一言に我慢の限界が来たのか小突いていたARの手を掴みながら
『真一さま、私もう我慢が出来ません』
『麻友やめるんだ。離してやれ』
麻友は掴んでいた手を離した。
連中は自分のARを後ろにやると
『何するんだ! 真一のARのくせに』
自分たちがやっていたことを棚に上げてくってかかって来た。
麻友は将司に尋ねた。
『将司さま、あの方々のARとは戦ったのですか?』
『あぁ、戦った。そして俺が勝った。それが何か?』
『真一さま、このままでは私いつ真一さまとの約束を破ってしまうかも知れません。
 朝から私は苛立って居ましたが、真一さまとの約束があるので我慢していましたが、
 もう我慢の限界です。

 ですから、真一さまはお好きでは無いようですが、将司さまのARと戦わせて頂けませんか?
 そうすれば、あの方々もちょっとは納得するのでは無いでしょうか?』
そのくらいで納得してくれるなら苦労はしないよ・・・。
と思ったがあの麻友がいままで我慢してくれていた事だしもしここで断ってもっと自分が
色々言われたら今度は完全にキレて
大惨事になるのは目に見えていたので真一は許可する事にした。
『麻友がそう言うなら仕方ないか・・・。じゃあ麻友やるか?』
『はい』
『じゃあ放課後、体育館で』
それだけ将司言って真一は自分の席に戻った。
真一が自分の席に戻ると友美が来て
『よろしかったのですか?』
『俺はあまりやりたくないけど、麻友がやる気満々だから』
苦笑いしながら答えた。
友美と話していると丁度午後の授業の予鈴がなった。

そして放課後になり真一は約束通り体育館に向かった。
体育館に着くとクラス全員じゃないのかと思うほどのギャラリーが居て、
将司が既に競技フィールドに立っていた。
『俺、やった事ないからルールとか知らないけど・・・。』
『ルールは簡単で、相手のARに【参った】と言わすか【戦闘不能】になったら負け。
 それと相手のARを破壊しても負けだから』
要は相手のARの保護回路を働かして動けなくすればイイ訳だ。
それを理解した麻友は、『理解しました。』と言った。

将司は自分のARの【コンボ】の専用端末を持ち何やら操作をし始めた。
『これは、戦闘データーを入れているだけだから、もうちょっと待ってくれ』
 真一は、先にやっておけよと思いながら麻友を呼び小声で呼んだ。
『解っているとは思うが例の戦闘モードは無しだからな。それと、ある程度手加減はしてやれよ』
『はい。でも、戦い方は私に任せて頂けますか?』
『別に良いけど、何か作戦でもあるの?』
『作戦なんかは必要無いと思います。』
真一は『まぁそうだろうな』と思いなが将司の準備が終わるのを待っていた。
真一に対するヤジが飛んでいたが無視を決め込んで居ると将司の準備が整った。
『待たせたな。では始めようか?』
将司とコンボがAR専用のリングに登った。
麻友もそれを見てリングに登った。
するとジャッジをしてくれるクラスメイトが
『お互い良いですか?』
と聞き俺と将司が頷くと決戦のゴングをならした。

 試合は一瞬で終わった。
人間の目から見ればゴングが鳴った瞬間にはコンボが倒れていた。
体育館は水を打ったように静まり返った。
真一は『あちゃ・・・。麻友やり過ぎ・・・。』と思いながら顔を抑えた
そんな事を考えているとは知らない麻友は
『あの・・・・。私はどうすれば良いのでしょうか?』
将司は我に返り端末を見たが、エラー音と共に緊急停止のメッセージが出ていたので
首を横に振った。ゴングがもう一度なり試合終了を告げた。

すると、今まで静まり返っていた体育館がザワつき始また。
試合を見に来ていた友美はディートに
『ディート、今の見えました?』
『私にも何も見えませんでした。』
『ディートにも見えない速さって麻友さんはどうなっているのかしら?』
それは友美たちだけではなく、そこに居た全員が思った事だった。

麻友は何事もなかった様に真一の元に戻った。
『お待たせしました。これからどうなされますか? 帰りますか?』
『麻友、やり過ぎだよ』
『すみません。私、出力1%以下に出来ませんので・・・・。』
『今ので出力1%?』
『はい。相手のARが動かなかったので先制攻撃をしましたがいけなかったでしょうか?』
真一は心の中で『動かなかった。と言うかあの瞬間に動けるのは麻友くらいなもんだろう』
と思ったが口には出さなかった。
真一は善太郎が交換を強く進めた理由が改めて解ったような気がした。

そんな事を思っていると将司が近づいて来て
『完全に俺の負けだよ・・・。でも、真一のARは凄いね・・・。と言うか桁外れ?
 まさかとは思うけど、それは違法じゃあ無いよね?』
『自作だけど、ちゃんと審査が通ったARだよ。』
『自作のARがここまで凄いとは思わなかったよ』
真一は『まぁ麻友だけだけどね』と心の中で言った。

予想はしていたがやっぱり『インチキ』だの『違法AR』だのの意見が出始めた。
真一は騒いでいる連中に言ってのけた。
『麻友は違法ARでもないし、インチキもしていない』
騒いでる連中が真一の言葉で納得するはずもなく勝負をしろと言ってきた。
『じゃあ俺たちとも勝負してくれよ』
『将司と戦って負けたARが将司と戦って勝ったARに勝てる訳ないじゃ・・・・。』
『一対一では負けるかも知れないけど、ここに居る全ARとだったらどうだ?』
何を思ったのか連中は無茶苦茶な事を言い出した。
まぁ、多分麻友ならココに居る程度のARなら100や200くらい相手しても
問題ないとは思うけど・・・・
もしまた勝ったら今度こそ違法AR扱いでは?
などと思っていると麻友がまともや挑戦を受けてしまった
『いいですよ。まとめて相手になってあげます。
 ですが、私が勝った時に真一を侮辱する様な事を言った時は、
 今まであなた方が真一さまに対して言った数々の無礼な言動は私のメモリーに
 記録済みですのでそれを、教員やあなた方の親御さんに公開しますが宜しいでしょうか?』
麻友は脅しとも取れるセリフを言った。
連中は余程自分たちのARに自信があったのか分からにが麻友の条件を飲んだ。

『あぁ良いとも、では相手になって貰おうか?』
そして連中はARを集める音頭を取り出した。
『この生意気なARを一緒に倒さないか? 皆一緒にやろうぜ!』
クラスの殆どは、その場の雰囲気みないなノリで参加を表明したが
遥香・友美・将司・静哉・裕二は参加しなかった。

遥香は
『戦闘には不向きなARだから』
との理由で
将司は
『今しがた負けたばかりなのに、まだ戦う気力が戻っていない』
との理由で
静哉は
『自分のARを壊されたくない』
と一言
裕二は誘われもせず
そして友美は
『卑怯な試合には参加したくありませんし、勝てる見込みの無い事はしたくありません。』
と言って断った。

それでも、クラスのほぼ全員と1体。普通に考えれば勝てる訳ないのだが、
麻友にとっては何の問題もない事は判っていたが、
あの動きを再度やればまた何か言ってくるのは、火を見るより明らかなので麻友に 
相談してみることにした。
『麻友、将司との試合みたいに動きが速すぎるのは今状況では良くないから、
 もっとゆっくり動けないか?』
『私は最善の方法で勝てる様にプログラムされています。
 それを今から変更と言うのはこの短時間では、少々難しものがあります。』
『そうか・・・・。やっぱり急には無理か・・・・。いや待てよ。良い事思い付いた!』
真一は名案を思いついたので麻友に言ってみた。
『麻友、俺のPCの中身を見たのなら、俺がやっているネットゲームがあるのは知っているか?』
『はい。知っていますが?』
『じゃあ、そのゲームの動きを再現は出来ないか?』
『真一さま、真一さまのPCにアクセスする許可をください』
『許可する』
『戦闘データーダウンロード完了・・・・。これなら、80%はトレース出来ます』
『じゃあそのデーターを使って戦って、速度は俺たち人間に見える程度の速さで戦う事』
『分かりました。その様にします。』

そんな事を話していると連中の方も何やら相談がまとまったらしく
『ここで戦うのは狭すぎるから、外でやるけど文句ないよな?』
『俺は構わないが麻友はどうだ?』
『私も構いません』
そして体育館の競技フィールドから運動場に併設された大型競技場に移動した。