真一が教室に入るといつもの連中が凝りもせず、また真一に悪口を言い始めた。
『ARも買えない真一が来たぞ』
今日の真一は言い返した
『そうだよ。俺は金が無いからARも買えないよ。だから、自分でARを作りました。』
『はぁ?自分でARを作った? 馬鹿じゃないの。そんな事出来る訳無いじゃん』
『事実なんだから仕方ないじゃん、紹介するよ、俺が自作したARの麻友だ』
後ろから付いて来ていた麻友を手で押した。
『麻友です。皆様よろしくお願いします。』
麻友は頭を下げた。
そして麻友が顔を上げクラスの全員が麻友の顔を見るとクラスが静まり返った。
面食いの真一が一瞬で心奪われたアイドル並みの美貌なんだから仕方ない事だが、
連中はそれが気に入らなかったのか余計にヒートアップした。
『し、真一がAR何か作れる訳ない。ましてやこんな可愛いく・・・・。』
『どう思われても良いが、事実は事実なんだから仕方ない。』
と言って席に付いた。すると麻友が
『あの・・・。真一さま、私はどうすれば・・・。』
連中は揚げ足をとる様に
『あいつ自分の事、真一さまとか呼ばせているのか・・・・。あぁキモイ。キモイ』
例の本人に聞こえる陰口が始まったが真一は気にせずに
『今の時間は他のAR同様適当に俺の傍に居れば良いよ。
 授業が始まったら、この学校にはAR専用の待機場所があるからそこに行けば良いよ。』
と言って先ほど【AR登校許可書】と一緒に貰った【AR認定書】を麻友に渡した。
『これを入口のスキャナーに通せば入れるから。あぁ、それより場所分かる?』
『はい。この学校の見取図は検索済みです。』
麻友が万が一にも遅れを取るとは思えないが、
連中がARに何を指図するか判らないので安全の為に、
ここは知り合いのARに頼みたいがそんなARは真一には居ない。
そんな事を考えていると友美が登校して来た。
『あら、真一さん今日は早いのね。それより、そのARは誰のですの?』
『友美さん聞いてくださいよ。そのAR真一が自分で作ったなんて嘘を言っているんです。
 ARを自作なんて聞いた事も見た事もない。友美さんはどう思います?』
『あなた方は知らないのですか? ARは自作出来るのですよ?
 現に私の家にはその方面では有名な方に作って貰ったARが居ますよ』
これには半信半疑だった他のクラスメイトも一斉に『え!』と言う顔をした。
『まぁ、簡単な事ではありませんがね。かなりの知識と技術が必要な事は言うまでもありませんが・・・。』
そこまで言い終わると友美は真一に尋ねた。
『真一さん、本当に自分でそちらのARをお作りになったのですか?』
『そうだよ。正真正銘の自作だよ』
『そうですか。やっはり真一さんは学校では本気で勉強なさっていなかったのですね』
『友美は信じてくれるんだ』
『そうですね。私も驚きはしましたが、真一君が嘘を付くような人間では無い事は知っていますから』
『信じてくれてありがとう』
 真一は麻友に自己紹介をさせた。
『自己紹介して』
『真一さまにお使えする事になりました麻友です。友美さま、今後ともよろしくお願いします。』
『私は西園寺友美、そして私のARがこのディート』
『友美お嬢様にお使えしているディートと申します。お嬢様共々よろしくお願いします。』
『AR同士の挨拶ってもっと・・・・。何と言うか電波などでやり取りするのかと思ってた』
なんて考えてい居ると友美が善太郎達に聞かれた事と同じ様な事を聞いてきた。
『それにしてもまた可愛いARを作ったものですね。真一さんはこの様な顔立ちがお好きなのですか?』
『まぁ・・・・。嫌いでないかな・・・・。』
赤面して答えると友美は
『真一さんもその様なお顔するのですね』
それだけを言うと友美は自分の席に付いた。

真一は『そうだ!』と思い友美の席に言った。
『友美ちょっとお願いがあるのだが良いかな?』
『私に頼み事とは何ですか?』
『正確には友美と言うかディートに頼みたい事があるけど良いかな?』
『私に頼みたい事とは一体何でしょうか?』
『麻友の事なんでけど、今日が初日だし、
 連中が自分たちのARに何をやらすか分からないから気にかけていて欲しいのだけどダメかな?』
『お嬢様よろしいでしょうか?』
『そうですね。初日ですし麻友さんも勝手が分からいかも知れないし
 AR同士の揉め事も結局は使用者の責任になるのだし、
 ディート今日は麻友さんをエスコートしてあげて』
『じゃあディートよろしくね。そして友美ありがとう』
真一が自分の席に戻ると麻友はちょっと不機嫌になっていた。
『真一さま、私自分の身は自分で守れますが・・・・。
 少なくてもここに居るARに遅れを取るとは思えません』
『俺も麻友が負けるなど思っていないよ。でも、揉め事を起こすのは極力避けたいから、
 予防策だよ』
『真一さまがそう言うのでしたら、分かりました。』

最初の授業のチャイムが鳴ると、ディートが麻友を迎えに来てくれた。
『麻友さまでは参りましょうか。』
『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』
麻友はディートの後をついて行った。

それから、お昼休憩までコレと言った動きは無かった。
今日は麻友が居るので外でお弁当を食べようと麻友を迎えに行った時に、
麻友とディートもこちらに歩いてきて麻友の手には何か持たれていた。
『麻友、俺今日は外で弁当を食おうと思って迎えに来たのだけど、その手に持っているは何だ?』
『将司さまのARから真一さまに渡して欲しいと頼まれました。
 危険な物では無いようでしたのでお預かりしてきたのですが』
麻友は真一に封筒みたいな物を渡した。
すると麻友の横に居たディートが
『恐らく決闘状では無いでしょうか?』
『決闘状? 俺、アイツと面識あまり無いのに、なぜ突然決闘状何か貰わないといけないだ?』
『真一さまに対する物ではなく、麻友さま宛の決闘状では無いかと・・・。』
真一は封筒の中身を見るとディートの言う通り麻友との決闘がしたいので
今日の放課後体育館に来て欲しいとの内容が書かれていた。
『なんだこれ? 意味が解らない・・・・。』
真一が不思議に思っているとディートが説明してくれた。
『将司さまは、自分のARを他の人のARと戦わせるのがお好きみたいで、
 お嬢様も以前同じ様手紙を頂いたみたいです。』
『じゃあディートは戦ったのか?』
『いいえ。お嬢様は断りました。』
『俺も断ろう。 麻友もそれで良いな?』
『真一さまの判断に任せます。』
そんな事を話していると友美もディートの様子を見に来た。
『ディートが遅いですから様子を見に来たのですが、何かありまして?』
『悪かった。勝手にディートと話し込んでしまった。』
『それは良いのですが、何を話していらっしゃったの?』
真一は将司から貰った決闘状を友美に渡した。
『見ても良いですの?』
真一は頷いた。
『私も以前同じ物を貰いましたが、断りました。』
『ディートから聞いたよ。だから俺も断ろうと思う。』
『難しいかも知れませんよ。私も断るのは相当苦労しましたから・・・・。』
真一はあの友美が苦労したと言うのだから相当手強いと思ったが、
向こうはちゃんと礼を尽くしているのだから、
こちらとしても無視するわけにも行かず教室に居る将司の所に行った。
『麻友がこんなモノ預かってきたけど、俺は麻友を君のARと戦わす気ないから・・・・。』
『どうしてだ?』
『実際にAR同士を戦わすなんて俺は興味ないし、
 君がなぜ突然俺にそんな事を言って来たのかも解らない・・・・。』
『俺のARがこの学校では一番強いと思っている。
 だから、君が麻友くんを連れてきたから、どちらが強いか決めたい。』
『君は色々間違っている。まず一つ、人に自分のエゴを押し付けるな。
 もう一つは、君のARが強いのかも知れないが、
 この学校の全部のARと戦った訳では無いよね? だから、君のARが一番かどうかは解らない。』
『確かに、学校に居る全部と戦った訳では無いが・・・・。
 だからこそ、出来るだけ多くのARと戦って証明したい。』
『それがエゴだと言っている』
将司と揉めていると、真一の悪口を言っている連中が聞きつけて
『将司、やめて置いた方が良いぞ。真一が作ったAR何か戦うまでもない。
 アリと戦っても壊れるんじゃないか?』
茶々を入れてきたが無視をして将司との話を続けた。
『俺は麻友を戦わす気は無いから・・・・。
 それに女性型と戦って勝ったとしても何の自慢にもならないよ』
『ARに女性型も男性型も無いよ。違うのは見た目だけではないか。』
まぁ事実そうなんだが・・・。
真一が無視を決め込んでいる事に腹を立てなのか連中は自分たちのARに命令して、麻友を小突き始めた