真一が目覚めるとそこは自分の部屋だった。
そして傍には麻友の姿があり心配そうに看ているようだった。
『おはよう。と言っても周りは暗いから、もう夜か・・・・。
 俺は何時間くらい寝ていたのだ?』
『8時間23分25秒です。』
『麻友。まさか会長さんとか会社に迷惑を掛けたのでは無いだろうな?』
『今は何もしていません。』
『そうか・・・。良かった。』
『それにしても、『今は』って今後も何もするなよ』
『私からは何も致しませんが、真一さまの身に何かあればその時は・・・・。』
『それにしても、よく何もせずに我慢して俺を連れて帰ってきてくれたね。
 もしかしたらと思ったけど、俺ももっと麻友を信用しなくては・・・・。』
『私が思い止まったのは、真一さまのお陰です。』
『俺?』
と不思議そうにな顔をしていると

『私は真一さまが倒れたので、直ぐに体をスキャンしたのですが寝ているだけと
 分かったので、突然の睡魔と言う事はその直前に飲まれていた
 飲み物に何か混入されて居るのではないかと思い調べると睡眠薬が入っていました。
 最初は善太郎さんが命令して部下の人が入れたのかと思いましたが
 実は部下の人が勝手に入れたみたいだったけど、
 真一さまに危害を加えた人を許す訳には行かないので会社ごと
 消滅させようとしていたのですが・・・・』

そこまで聞いた真一は
『マジですか・・・・。会社ごと消滅って・・・・。ミサイルですか?』
と考えているが麻友の話は続いており
『真一さまの声が耳に入り思い止まりました。』
『俺の声? 俺ぐっすり寝ていたよね? 俺は寝言で何を言ったんだ?』
麻友は嬉しそうに
『真一さまは、『麻友は俺が作ったARだ。麻友は兵器じゃない・・・・。
 俺の自慢のARだ・・・・。』とおしゃってくれました』
真一は自分の顔が赤面するのが分かるくらい恥ずかしくて顔が熱くなった。
『お、俺そんな事を寝言で言ったのか?・・・・。』
『あれはウソだったのですか?』
『う、嘘ではない・・・・。が・・・・。』
『が、何ですか?』
真一は恥ずかしすぎて居た堪れなくなり
『何でもない。』
『それより、今日はもう寝る。おやすみ麻友』
と言ってベッドに潜り込んだ。
『おやすみなさい。真一さま』
と言って布団を直してくれた。

真一はまだ薬の効果が残っていたのか直ぐに寝てしまった。
翌朝、学校に行くにはまだ早い時間に麻友に起こされた。
『真一さま、真一さま起きてください。』
真一は時計を確認しながら
『う~ん・・・・。おはよう麻友。まだちょっと早くないか?』
『真一さま家の前に車が止まっていて、運転席には善太郎さんが乗っています。』
真一はカーテンの隙間から確認すると黒の高級外車が停まっていた。
『昨日の今日でまた何かする気なのかな?』
『私が行きましょうか?』
麻友が行くとまた暴走しそうなので真一は
『良いよ。俺が行く。でも警戒だけはしていてくれ』
真一は着替えて善太郎の車に向かった。
善太郎は真一に気づくと車から下り
『おはよう。昨日は済まなかった・・・・。
 昨日の今日でワシが顔を出すのはどうかと思ったが、どうして心配で来てしまった。』
『それは、俺の体がと言う意味でしょうか? 
 それとも麻友が何かするんでは無いかと心配して訪ねて来られたのでしょうか?』
『麻友くんの事は心配しておらんよ。会社が存在してワシがここに居るって事は、
 少なくても今は何もするつもりは無いだろうし、
 それにワシは真一くんを少ながらず信用しているからな。
 今日、こんな朝早くから伺ったのはもちろん真一くんの体調が気になったからじゃ』
『そうですか、体は何とも無いです。ご心配おかけしました。』
と言って頭を下げた。

すると善太郎は突然道に土下座して
『真一くん、本当に悪かった。許して欲しい。経緯はどうあれ責任はワシにある。』
と言って頭を道に擦り付ける勢いで頭を下げてきた。
真一も流石にこれは・・・・。と思い
『会長さん頭を上げてください。あの事に関しては何とも思っていませんので・・・・。
 それに睡眠薬を入れたのは部下の人ですよね? 
 会長がそこまでして貰わなくても・・・・。』
と言って肩を持ち善太郎の頭を無理やり上げさせた。
善太郎は真一に促されてその場に立った。
『昨日の事は何とも思っていないし、
 俺も麻友の事に関して無理を言っているのも分かっているし、
 その事が原因で今回の事が起きたのだから反省すべき点は俺にもある、
 だけど、麻友の事に関して譲る気はありませんので・・・・。』
『君は何も悪くないよ。全部ワシが悪いのだ。
 昨日真一くんに言われた通りワシは何も分かっていなかった・・・・。
 長年ARに関わっている内に、ワシも変わってしまった様じゃ・・・・。
 それじゃ、いけないと昨日の君の言葉で気づかされたよ』
『それじゃあ、麻友の事は・・・・。』
『その事に関して話したいから、
 今日学校が終わってから麻友くんと一緒に会社に来てくれないか? 
 昨日の一件で会社に着づらいなら、ワシがまた夕方にでもここに来るが・・・・。』
『こんな車で度々来られたら、近所の人から何と言われるやら・・・・。』
と思い
『会長さん自ら来て頂かなくても、俺の方から出向かせて頂きます。』
『じゃあ、今日は表から入ってきて受付にこれを渡したら案内して貰える様に
 言っておくから・・・・。』
善太郎は自分の名刺を真一に渡した。
『はい、分かりました。』
『それじゃあ、待っているから』
善太郎は車に乗り帰っていった。

真一が家に戻ると麻友が
『本当に行くのですか?』
『うん行くよ。と言うか麻友も一緒だからね。
 まぁ、このままではダメだから早く決着を付けた方がお互いの為だし・・・・。
 昨日みたいに手荒な真似はしてこないと思うよ。』
『もしもの時は・・・・。』
『麻友。これはちゃんと言っておくけど、俺の事を思ってくれるのはすごく嬉しいけど、
 人を傷つけてはダメだからな。
 これから先、もしかしたら麻友の力がいる時が来るかも知れないけど、
 その時は俺が頼むからそれまでは無闇にフルパワーを出さない事。』
『分かりました。でも、真一さまの身に何かあった場合、私はその命令には従いません。
 真一さまの為なら世界を相手にします。』
麻友は覚悟を決めた様な様子で言った。
『その気持ちは俺も同じだけど、俺に為にも力のセーブをしてくれ』

真一は学校に行く準備をしながら、
『俺、学校から直接会社に行くから、
 夕方の5時くらいに会社の前で待ち合わせしたいのだけど麻友は大丈夫か?』
『分かりました。』
『これ家の鍵だから、家を出る時に鍵閉めてくれ。じゃあ行ってきます。』