真一は悲しそうな声で
『次世代型戦闘用AR』
真一が発した言葉に善太郎だけではなく麻友も驚きの声を上げた
『真一さま・・・・・。ご存知だったのですね・・・・。』
『あぁ。最初に違和感に気づいたのは麻友を直す時だった。
 いくら高性能なARをめざして居たとは言え、あの部品は可笑しい・・・・。
 そして、ボディーの表面を覆っている金属も自己再生機能がある【生体チタニューム】
 確信を得たのは今朝のステルス機能。それで分かった。
 あぁ麻友は戦闘用に作られたARなんだと・・・・。』
『真一さま、それを知った上でも私にそばに居て欲しいですか?』
真一は不思議そうな顔で
『何を言っているのだ?麻友、まだ何かが壊れているのではないか? 
 昨日言った事もう忘れたのか?  俺は言ったはずだ『麻友を手放す気は全く無い。
 と・・・・。』

それを聞いた麻友は嬉しそうな声で
『はい。もちろん覚えております。』
そんなやり取りを見ていた善太郎は
『真一くんどうしても、そのARを手放す気はないんだね』
真一は、はっきりと
『ありません。』
と答えた。すると善太郎は
『仕方ない・・・・。こんな事はしたくなかったが・・・・。』
と言って何やら端末らしき物を操作し始めた。
それを見て麻友は
『善太郎さん無駄ですよ。いくら善太郎さんが停止信号送っても私は止まりませんよ』
どうやら専用端末で麻友を停止させようとしていたみたいだ。
『なぜだ。これで全ての機能を停止する様に、
 メインデーターとは別の領域に専用コードを書いたはずなのに・・・・。』
『やはりそうでしたか・・・・。私にも不明な領域だったので交換させて頂きました。』
その言葉を聞いて、真一と会長は同時に
『交換?』
と面白いようにハモってしまった。
『はい。真一さまのPCのデーター容量とその不明データーの容量が一緒だったので、
 そのまま交換コピーをしました。真一さま申し訳ありません。
 多分PCは今頃停止していると思います・・・・。』
真一は麻友の朝方の行動が理解出来た。
『別に良いよ。麻友が停止するより何百も何千倍もマシだよ。』
麻友は覚悟を決めたと同時に悲しい思いに包まれた。
『善太郎さんがここまで卑怯な手で来るとは・・・・。
 本当は不明データーだったので後で解析しようと思って取り出して置いたのですが
 それが良かったです。善太郎さんがその様な事をするのでしたら、私にも考えがあります』
麻友の目が緑から赤に変わった瞬間、会社が停電になった。
『今から楠木グループのメインサーバーにアクセスします。善太郎さんならこの意味わかりますよね?』
と冷たい声で言った。
すると真一の目にも善太郎の顔色が青ざめて行くのが判った。
会社のメインサーバーがハッキングさると言う事の意味くらいなら真一でも分かる。
その情報が他社に流れた日には確実に楠木グループは終わりである。

『麻友、やめろ。』
真一は叫んだ。
すると麻友は
『はい』
と言った瞬間会社の電気は正常に戻り、そして麻友の目の色も元に戻った。
するとすぐに会長室の電話がなった。
その内容は想像が付く、多分『メインサーバーが何者かにハッキングされました』だろう。
その内容は合っていたらしく善太郎は
『原因は分かっている。今の所は心配ない。』
と言って受話器を置いた。

『ワシはなんて物を作り出したのだ・・・・・。』
『これは、俺の想像ですが麻友は会長さんが自ら開発したARで製作している時は、
 何も考えられなかったが完成して冷静に考えたら色々マズイ事に気づいたので
 自らの手で解体処分した。そして、何も知らない俺が持って帰って組み立て直してしまった』
『大方は真一くんの言う通りじゃよ』
落胆している善太郎と話して居ると男性の秘書らしき人がコーヒーを運んできてくれた
そのコーヒーを善太郎の前に置く時は普通だったのだけど、
自分の前に置く時に違和感があったが真一は気にしなかった。
『真一くん一先ずコーヒーでも飲んで落ち着こうでは無いか・・・。』
善太郎はコーヒーを飲んだ。
真一も話を急いでも良い結果は生まないと思いコーヒーを飲む事にした。
『頂きます』
コーヒーを飲んだ瞬間、何か混入されたと気づいたが遅かった・・・・。
突然の睡魔に襲われながら真一は混入されたのが睡眠薬で良かったと思いながら意識を失しなった。

突然、真一が倒れた事に会長と麻友は驚いた。
『真一さまどうなされました。しっかりしてください。真一さまちょっと失礼しますね。』
と言いながら首の動脈に手を当て脈の確認をしながら真一の体をスキャニングした。
善太郎も
『真一くん!』
と言いながら、インターフォンに手を掛けた瞬間入口のドアが開き
『会長大丈夫ですか?
 そのコーヒーには少々睡眠薬を入れて置きましたので
 そこの少年は暫く目覚める事はありません。
 今のうちにそのARをこれで停止してください。』
と言って先ほどコーヒーを運んできた秘書らしき人が、端末を会長に渡した。
その端末は一般のARを物理的に強制停止させる事出来る部品の端末である。
通常のARなら法律で義務付けられているが当然善太郎が開発した試作機である麻友には
その様な部品は付いておらず善太郎は
『鈴木くん・・・・。私たちの命は終わったよ』
と言うが早いか麻友の目の色がまたも赤色に変化そして
『真一さまに毒を盛ったのはあなたですか?』
と言うと周りの温度が下がった様な気がした。
その鈴木と言う秘書はまだ自体が飲み込めて居ないのか
『会長、早く停止コードを!』
そんな事を言っている間に麻友の背中には羽根みたいなモノが見えた。
それは急速に電磁波を呼び寄せて急速充電をする時に周りの電磁波が
プラズマ化して見えるモノだった。
それを見た秘書は
『ば、化物!』
と言って腰を抜かしている横で善太郎は
『化物か・・・・。ワシには悪魔としか見えないが、
 真一くんが見たらこれでも天使って言うのだろうな・・・・。』
と覚悟の決めた様子で呟いた。

会長の足にしがみつき
『か、会長。は、早く止めてください。』
と言った秘書に対して善太郎は
『無理じゃよ。
 唯一この状況でそこのARが言う事を聞いて停止してくれる真一くんを眠らせたのは
 君ではないか? こんなモノなんの役にも立たんよ』
と言って手に持っていた端末を放り投げた。

そんなやり取りをしている間に麻友の攻撃の準備が整ったのか
『最後に確認です。真一さまの飲み物に毒を盛ったのは貴方ですか?
 そして、それを命令したのは善太郎さんですか?』
善太郎は
『ワシが命令した訳ではないが、この様な事態になった一端の責任はワシにあるだから、
 ワシの命で許してくれ。』
と懇願する善太郎に麻友は
『ダメです。そこの人を見逃したら、また真一に危害を加える恐れがあります。
 だからと言ってあなた方2人だけを消したのでは
 後で色々面倒な事になり真一さまが困る事になる恐れがあります。
 従って他の無関係の人には悪いですが、この会社ごと消滅してもらい、
 事故で処理してもいます。』
と言った麻友に対して善太郎は
『君がそんな大きな攻撃をしたら、君の大切な真一くんもタダでは済まないぞ』
と言うと麻友は
『大丈夫です。私の持てる全てのエネルギーを利用して【電磁フィールドバリア】を
 展開して真一さまはお守りしますので。』
そして麻友からいよいよ攻撃が出されようとした瞬間

『麻友は俺が作ったARだ。麻友は兵器じゃない・・・・。俺の自慢のARだ・・・・。』

麻友の耳に真一の声が聞こえた。それは睡眠薬で眠らされている真一の寝言だった。
それを聞いた麻友は一筋の涙を流すと今まで高圧電流によって引き起こされて居た
独特の音が止み、麻友の背中に見えていた羽根みたいな物も消えていた。
そして麻友は寝ている真一を抱えるとステルスモードに切り替え部屋を出て行った