「昔、僕と知り合ったときの萌美ちゃんは西瓜柄の水着や、
知世さんが制作した一九五○-六○年代に有りそうなデザインの水着や
三昔前のレースクイーンみたいなバドワイザー水着を
着用してくれたのに、今は親友ちゃんが彼氏のために
選んだ、ビキニの水着や、水泳のときはスポーツウェア
という空気感を孕んだスパッツやハイレグ競泳水着を
着用するんだろう。」
ふと、浩一郎君とスポーツ用品店に行った時に
今二十歳になった私、柿沼萌美に聞いた。
「私としては、あそこまで水着が変わるだけで
水泳に真面目に取り組む浩一郎君の心を知りたかったから。
だから、一九五○-六○年代風もレースクイーンも
着たいと、思ったの。着心地や泳ぎやすさは劣るけれども、
浩一郎君の信じる世界を体験したかったから。
でも、今は私の感情を優先するから。」
と萌美は言う。
「僕は、萌美ちゃんが自分の感情を優先させてからは
水着に興味を失った。萌美ちゃんの感情を優先する
ようになってからは、水着にこだわらなくても
生活ができる。」
と浩一郎君は答えた。
「多少窮屈でも守らなければいけない枠があるなら
今の浩一郎君は守ったほうがいい。」
私はそうシビアに答える。