昨日、読下し文を掲げた「勿謂行」の原文です。現在、解読中の『義魁 清河正明伝』(須田古龍著。漢文)巻一 に見える物で、新資料といえましょう。
勿謂美男子 謂ふ勿れ 美男子と
美男子豈有才子 美男子に 豈才子有らんや
勿謂是才子 謂ふ勿れ 是れ才子と
才子未見豪傑 才子に 未だ豪傑を見ず
勿謂是豪傑 謂ふ勿れ 是れ豪傑と
豪傑豈有真儒士 豪傑に 豈真の儒士有らんや
美男子之面吾将衝 美男子の面は 吾将に衝かんとす
才子之心吾将壓 才子の心は 吾将に壓せんとす
世間何在豪傑士 世間 何れにか在る 豪傑の士
執綏授鞭吾将從 綏を執り 鞭を授け 吾将に從はんとす
卋間未見真儒士 卋間 未だ真の儒士を見ず
垂德行仁是人之聰 德を垂れ 仁を行ふは 是れ人の聰なり
鄒魯人去真儒絶 鄒魯 人は去りて 真儒絶え
中原鹿落匱豪傑 中原 鹿は落ちて 豪傑に匱し
只見滔滔軽薄子 只だ見る 滔滔たる 軽薄子
徒弄文墨與世徙 徒らに文墨を弄びては 世と徙るを
又見咄咄俗中人 又た見る 咄咄たる 俗中の人
朝昏只愛宗朝美 朝昏 只だ愛す 宗朝の美
嗟夫忼慨為歌東海男兒 嗟夫れ 忼慨して為に歌ふ 東海の男兒
白眼决眥知者誰 白眼 眥を决す 知る者は誰ぞ
眥但し、古体詩としては押韻が不揃で、未完成作というべき物です。最後の「まなじりを决す」は、杜甫や頼山陽が使用している用語です。