母と子
動物が進化の過程で身につけてきた生きかたを妨げると、彼らを不幸にすることになる。
鶏も牛も、あらゆる家畜動物は子どもを産み、幼い我が子を導くように進化してきた。
出産した母親から子どもを取り上げて、母性本能を表現する機会を奪ってしまったら、
その母親が幸せなはずがない。
考えてみて欲しい。
あなたが自分の意思に反して妊娠させられたうえに、
生まれたばかりの子どもを取り上げられ、その子が夕食のおかずになったとしたら?
あなたは幸せだろうか。
牛は失った子どもを思いかえしたりしないとでも思っているなら、
誰でもいいから牛を飼っている人に聞いてみるといい。
生まれたばかりの子牛と母牛を引き離してしまうと、どれだけ彼らが長く呼びあうのかを。
ある酪農家の話では、母子はお互いの姿が見えているかぎり、
声が枯れるまでいつまでも鳴きつづけるそうだ。
ジェフリー・F・マッソン『豚は月夜に歌う』より抜粋