存在の謎2

「存在する」ということは、奇跡だ。存在する限りのあらゆることが奇跡であり、したがって謎なのだという絶対の真理を手放さないのであれば、君は、これからの人生、この世の中で、いろんなことがあるけれども、悩まずに考えゆくことができるはずだ。そのためにこそ、人間には、考える精神があるんだ。考えたいけどうまく考えられない、そういう人だって、かまわない、生(ある)と死(ない)の謎を感じて、その謎を味わいながら、大事に人生を生きてゆけばいい。真理は、すべての人の内に等しくあるものだから、そのことを信じてさえいるなら、大丈夫だよ。

引用:池田晶子「14歳からの哲学」


あぁ、涙が出てくる。

生と死の謎を味わいながら大事に人生を生きてゆくことができれば、悩まずに考えてゆけるよ、と励まされいるかのようだ。

ほんとうに、あらゆることが奇跡で、そして謎である。

真理は、すべての人の内に等しくあるもの

そうだ、そうなんだ。

けれども、それを忘れてしまっている。

私たちは、生まれ落ちたその時に、忘れてしまったことがある。

生きてゆくなかで、その忘れてしまったことを想い出してゆかなければならないのだ、きっと。

想い出してゆくことが、生きるということなのかもしれない。

それが、万人に託されていることなのかもしれない。

~つづく~