人生の意味1
感謝という感情があるね。君は、人に何かをしてもらった時、感謝して「ありがとう」と言うね。あの「ありがとう」とは、もともとは、この奇跡の感情を言うものなんだ。在る理由のないものがなぜか在る。この驚きに発するものなんだ。だから、存在への驚きを知る人や敬虔な信仰をもつ人は、苦しみにすら感謝して、「在り難う」と言うだろう。苦しみや、むろんのこと喜びという経験を、この身に経験することができるのは、宇宙が、自分が、なぜか存在するからこそだ。やっぱりこれはものすごく在り難いことだと思わないか。
引用:池田晶子「14歳からの哲学」
どこまでも、自分が存在しているから経験できることなのだ。
存在すること自体が奇跡だった。
その奇跡に、存在しなくてもよいのになぜか在るという奇跡に唱えたくなる、その言葉が「在り難う」なのだろう。
人生を生きてゆく上では、さまざまな事に遭遇する。
生きているからこそ遭遇するのだから、その意味では、「ありがとう」なのだろう。
そういう視座に立つと、ものすごく視界が開けて、存在することへの感謝が溢れ出てくる。
~つづく~