善悪2

「言葉」の章で、「美しい」という言葉について考えたことを思い出してください。美しいと感じるもの、見えたり聞こえたりするそれらのものは、人によって全部違うけれども、それを美しいと人が言う時、その意味は、必ずすべての人に共通しているのだったね。「美しい」という言葉、その意味は、あれこれの相対を超えた絶対だ。逆に、あれこれの美しいものを、その美しいものにしているのが、「美しい」というその意味、その絶対だ。そして、この絶対は、絶対なのだから、見えたり聞こえたりというあれこれの相対的なものとして示すことは決してできない。「よい悪い」の場合もこれと同じなんだ。

引用:池田晶子「14歳からの哲学」


その意味は、必ずすべての人に共通している

人により、何を美しいと感じるは異なるけれども、美しいという意味は皆に共通している。

意味の絶対性とも言うべきものがある。

よい悪いの場合も、あれこれとして示すことはできない。

けれども、よい、悪いの意味は皆に共通のものであるのだ。

ならば、よいこと悪いこととは、事柄として示せないならば、どうやって人はそれをよいこと悪いこととしているのだろう。

よいという意味
悪いという意味

それは絶対だ。

あれこれの事柄は、絶対ではない。

言葉とは、言葉の意味とは、ほんとうに不思議なものだ。

~つづく~